東大進学は20人前後… 県内屈指の進学校が全国大会へ進出できたワケ 広島学院 軟式野球部

広島県内屈指の進学校「広島学院高校」の軟式野球部が、創部64年目で初めて全国大会に駒を進めました。週2日と限られた練習時間の中、予選を勝ち抜いたその訳を探りました。

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広島学院高校 軟式野球部 スタメン
― 志望校は?
「東大です」「上智大学です」「医学部です」「東大です」「医学部です」「東大です」「医学部です」「東大です」

多くの生徒が難関の国立大学や医学部を志望する広島学院。その中で軟式野球部は、創部64年目で初の全国大会出場を果たしました。

先週木曜日の初戦は、北信越代表の上田西との一戦。3年生は春で引退するため、1・2年生のみでの挑戦でしたが、終盤まで大接戦を演じます。試合は3対4で惜しくも敗れましたが、唯一の初出場校としてさわやかな旋風を巻き起こしました。

試合後、中西キャプテンは涙が止まりませんでした。

2年 中西 燦之郎 キャプテン
「県予選の1回戦で負けてもおかしくないチームではあるので、今回の試合、負けてもそこまで悔しいことはないというふうには思っていたんですけど、やっぱり負けると悔しいなと思います」

広島学院高校 軟式野球部 横山 秀樹 監督
「まあ、全国を狙えるチームとは思っていなかったですね。うちとしては」

この春から指揮を執る横山監督も驚きを隠しません。17年間、中学生を指導してきた経験からも実力的にはごく普通だったといいます。

中西 燦之郎 キャプテン
「(全国大会出場は)びっくりしているのが正直なところで、先生から聞いている評判的なところも(全国には)行けないものだろうなとうすうす感じていて。でも、『行って、やりたいな』という気持ちはあったんですけど」

練習は、グラウンド整備から1・2年生関係なく全員で行います。週2日、水曜日は2時間弱、土曜日も4時間しかないため、いかに効率よく練習するか、横山監督と練習メニューを決めるのが、キャプテンの大きな仕事です。

中西 燦之郎 キャプテン
「効率の面だったり、(時間が)少ないので、より多くボールを触れるようにっていうのは意識しています」

― えっ、みんなが?
「みんながボールに触れるようにとは思っています」

大会直前になるまで学年・スタメンに関係なく平等に練習するという、強豪チームにはないスタイル…。そのスタイルが生み出す力を保護者も感じていました。

中西キャプテンの母 中西 香織 さん
「チームワークがすごいいいので、お母さま方も仲良しですし、子どもたちも仲良しなので、見ていて微笑ましいなと思っています」

中・高5年間、メンバーはほぼ同じ顔ぶれ。チームワークの良さは1つの大きな武器です。

新チームは、3年生が引退した5月にスタート。就任したばかりの横山監督が最初に取り組んだのは…

横山 秀樹 監督
「最初は基本ができていなかったので基本練習ばかり。1か月ぐらいは(ボールを)手で転がして捕るという地道な練習をことし6月ぐらいまでずっとやっていました。そこからスタートです」

小学生のころは受験のため、中学校から野球を始めた生徒が全体の9割を占めます。

横山 秀樹 監督
― 急成長ということで…
「よくがんばってくれたと思います」

中でも4人の投手陣のうち、エースとなった川村 龍ノ進(2年)が予選を通じて急成長。

横山 秀樹 監督
「特に変化球の制球力が抜群に上がって、夏、試合を重ねるごとにまっすぐのキレも出てきたので。彼、まじめなので、いろんなことを真摯に取り組む姿勢が…」

川村 龍ノ進 投手
「ストレートは速くないんですけど、緩急をしっかりつけて相手の目線をはずしてゴロで打ち取っていく。キャプテンがしっかりメニューを考えてくれるので、自分たちはそれを信頼してついていこうかなと」

練習の合間に気が緩むと、三谷 中高総監督が、げきを飛ばします。

三谷 淳 中高総監督
「攻守交代を早く、こういうところのペースも大事なんで!」

4番を任されたのは、1年生の土井。

4番を狙う 土井 翔太郎 選手(1年)
「(県予選を)ポンポンと勝って、このままいったら行けるんじゃないかと思って、雰囲気はめっちゃよかったです」

横山 秀樹 監督
― 全国に行けた理由は?
「結果的になんですけど、ピッチャーの川村がすごく成長してくれたこと。で、守備で大きな破たんがなかったことが一番の要因じゃないかと。自分たちのリズムで試合ができた」

中西 燦之郎 キャプテン
「ミスが少なかったことが勝因かなと思います。効率的に基礎練習から怠らずに、高校に入ってからもう1回、あらためてできたことがミスを少なくできたのかなと思います」

初めて挑んだ全国大会は、チームにさらなる成長をもたらしました。

横山 秀樹 監督
「取り組んできたことがランナー3塁からのゴロを転がす練習とサード側へのバント。得点シーンは、それで全て取れていたので、集中力がやはり高いなというのはある」

「高いプレッシャーの中でいいパフォーマンス見せる代は、時にある。その代なんじゃないかなと思っています。悔しい思いをするというのはすごく大事なことなので、あの後、ちょっとミーティングをやったんですけど、こういうところはしっかりやっていきたいという言葉も部員からも出ていた。今まで以上にがんばってくれるんじゃないかなと。モチベーションを上げるいい大会だったと思っています」

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