突然中止の甲子園、“草野球全国大会”で取り戻そう 2年前の夏、高3だった元球児ら企画 参加を呼び掛け

「埼玉の独自大会で優勝した狭山ケ丘高校の当時の選手たちも参加します」と話す大武さん

 2年前の夏、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、戦後初めて中止となった全国高校野球選手権大会。当時高校3年生だった元高校球児らが中心となり、幻となった夏の甲子園を卒業生の草野球大会として実現させようと、同年の各県独自大会の優勝チームなどに参加を呼びかけている。

 このプロジェクトを立ち上げたのは、都内の武蔵野大学に通う大武優斗さん(20)。自身も甲子園を夢見て城西高校(東京都)で毎日練習に励む高校球児だったが、(全国大会の中止発表を聞いて)突然目の前の目標を失い、無気力な状態が続いた。「今まで自分は何のために野球を続けてきたんだろう」。自身のチームは都の独自大会ベスト16で敗退したものの、モヤモヤした気持ちのまま2年が経過した。当時の仲間と再会すれば必ず甲子園の話題に。いまだにくすぶった状態で何事にも前向きになれない友人もいるという。

 「どこかに置き去りにされた僕らの青春とあの夏を取り戻したい」。大武さんは趣旨に賛同してくれる若手起業家らと共に実行委員会を組織し、今月4日から交流サイト(SNS)などを通じて大会開催の呼びかけを始めた。「これで当時の気持ちに区切りがつけられると喜びの声をたくさんもらっている。大会を成功させて夢を語ることや新しいことに挑戦し続けることの楽しさを思い出してほしい。当時の選手たちに大会の存在を知ってもらうためにSNSなどで拡散してもらえたら」と大武さん。

 参加チームの負担を少しでも減らすため、大会運営費は10月からクラウドファンディングで調達開始。年末からトーナメントを開始し、「本年度中には決勝までこぎ着けたい」と話している。

 詳細は、公式ホームページ(re2020.jp)へ。

© 株式会社埼玉新聞社