子育て夫婦は16年で1650万円−−モデルケース別・サイドFIREに必要な金額

働き方の多様性が広がる中、無理なく好きな仕事を続けて収入を得ながら、資産運用による収益と組み合わせて生活する「サイドFIRE」が注目を集めています。

そこで、元中小企業の会社員でサイドFIREを達成したYouTuber・節約マスクかおる( @monetopi )氏の著書『30代で4500万円貯めた僕の世界一たのしいお金の増やし方57』(KADOKAWA)より、一部を抜粋・編集してサイドFIREに必要な金額を解説します。


サイドFIREの形は人それぞれ。自分の目標金額を決めよう

生活水準・居住地域・扶養 家族・ライフプラン・借金の有無、いろいろな要因で設定金額は人によって変わってきま す。

いくつかの例を挙げて、サイドFIREに必要な金額を貯めるまでに何年かかるかを見ていきましょう。あくまでもざっくりした目安なので、そこまで真剣に考えずに「ふ~ん」くらいで大丈夫です。

モデルケース1|低年収会社員

  • 年間収入:会社員としての手取り年収250万円で副業収入なし
  • 年間支出:収入が少ない分節約をして、毎月15万円(年間180万円)
  • 現在の保有資産:30万円
  • 運用利回り:4%
  • サイドFIRE後の年間収入:毎月8万円(手取り年収96万円)
  • サイドFIRE後の年間支出:まったく生活を変えずに毎月15万円(年間180万円)
    →サイドFIREに必要な金額=(180万-96万)×25=2100万円

収入は少ないけど、それなりに節約して年間70万円くらいは貯蓄できている、ごく普通の会社員です。正社員としてフルタイムで働き続けるのがイヤでサイドFIREを目指している。そして生活水準が高くなくても、とりあえずゆるく働きながら1人でダラダラ生きていければいいやという人。

そんな人がサイドFIREに必要な金額は2100万円で、貯めるまでにかかる年数の目安は20年です。今が20代なら40代でサイドFIREできるくらいの金額が貯まります。もっと早くしたい場合は転職や副業などで収入を増やすか、支出を減らす必要があります。

今40代で同じようなケースの人は「サイドFIREですら自分には無理か」と落ち込んでしまうかもしれませんが、まずは現状を知るというのが大事です。

目安の年数を数字で見ることが、今後のマネープランを考える上できっと役に立ちます。

モデルケース2|子育てを頑張る節約夫婦

  • 年間収入:会社員としての手取り年収350万円で、副業収入・配偶者の収入などでプラス100万円
  • 年間支出:5歳の子どもが1人いて毎月33万円(年間396万円)、子どもが自立してからは毎月18万円(年間216万円)
  • 現在の保有資産:300万円
  • 運用利回り:4%
  • サイドFIRE後の年間収入:毎月12.5万円(手取り年収150万円)
  • サイドFIRE後の年間支出:毎月18万円(年間216万円)
    →サイドFIREに必要な金額=(216万-150万)×25=1650万円

結婚して子どもが1人いる家庭です。夫婦なので、収入面は少し強化できるかもしれませんが、子育て費用がかかるので当然支出が多くなります。この夫婦は節約が得意で、2人暮らしなら月18万円(年間216万円)で楽しく暮らせますが、子どもが自立するまでは養育費と教育費を合わせて平均で毎月15万円がプラスでかかると考えています。

毎月15万円というのは、5歳の子どもが22歳になるまでに3000万円必要だと仮定して、ひと月あたりで平均したものです。子育て費用は年齢によっても家庭によっても大きく変わってきますので、これはあくまでも概算シミュレーションということをご理解ください。

子どもが22歳で自立すると仮定しているので、表では16年後までは毎月33万円の支出、17年後以降は毎月18万円の支出として計算しています。

サイドFIRE後の収入は年間150万円も稼いでいますけど、2馬力なので、1人75万円くらいのゆるい労働で済みます。夫婦2人暮らしというのは、1人当たりの生活費は安くなるのに、収入は2倍なので、サイドFIRE後は結構楽ができそうですね。

そんな人がサイドFIREに必要な金額は1650万円で、貯めるまでにかかる年数の目安は16年です。ただ、このケースでは17年目以降も会社で働いていれば貯められるお金がグンと増えるので、続けて数年働いて余裕を持たせてもよいかもしれません。

モデルケース3|夢破れて実家に戻ったミュージシャン

  • 年間収入:会社員としての手取り年収300万円で、副業収入なし
  • 年間支出:実家暮らしで毎月10万円(年間120万円)
  • 現在の保有資産:0円
  • 運用利回り:4%
  • サイドFIRE後の年間収入:あんまり働く気力がないので毎月5万円(手取り年収60万円)
  • サイドFIRE後の年間支出:実家暮らしで毎月10万円(年間120万円)
    →サイドFIREに必要な金額=(120万-60万)×25= 1500万円

ミュージシャンになる夢が叶わずに、実家に戻ってとりあえず就職した会社員です。人生にやる気をなくしているので副業なんてする気力もありません。支出を減らす上で最強の「実家に住む」という選択をしているので、毎月10万円の生活費で済んでいます。現時点での貯蓄はなく、サイドFIREした後にゴリゴリ働く気もないですが、家を相続できる予定で、支出の変化もありません。

そんな人がサイドFIREに必要な金額は1500万円で、貯めるまでにかかる年数の目安は8年です。支出が少ないことによって、サイドFIREがめちゃめちゃ早くなるのがよくわかりますね。サイドFIREしてからの趣味でもいいから、音楽は続けてほしいものです。

モデルケース4|そこそこ高収入で生活レベルも高いエリート

  • 年間収入:会社員としての手取り年収500万円で、副業収入なし
  • 年間支出:毎月30万円(年間360万円)
  • 現在の保有資産:800万円
  • 運用利回り:4%
  • サイドFIRE後の年間収入:ゆるっと自営業で毎月8万円(手取り年収96万円)
  • サイドFIRE後の年間支出:生活水準は下げずに毎月30万円(年間360万円)
    →サイドFIREに必要な金額=(360万-96万)×25=6600万円

私には想像がつきませんが、高収入で生活水準も高いエリートです。こういう会社は毎年大きな昇給がちゃんとあるような気もしますが、平均してこのくらいのお給料だったとします。それなりに貯蓄もできていて800万円も保有しています。おそらく何かしらのスキルを持っているので、サイドFIRE後はアルバイトではなく自営業で稼ぎます。

そんな人がサイドFIREに必要な金額は6600万円で、貯めるまでにかかる年数の目安は22年です。どんなに稼いでいても、贅沢な暮らしをしていればサイドFIREは遅くなってしまうことがわかります。特にサイドFIRE後の支出が多いと、サイドFIREするのに必要なお金がかなり大きくなってしまいますよね。

例えばサイドFIRE後に地方に移住することで、年間支出が240万円になれば、サイドFIREに必要な金額は3600万円になり、達成は13年後と一気に早くなります。シミュレーション結果を踏まえつつ、自分の目標に合ったライフプランを考えることも大事ですね。

モデルケース5|子どもが自立した後の夫婦

  • 年間収入:会社員としての手取り年収は500万円で、配偶者のパート収入などでプラス100万円
  • 年間支出:毎月25万円(年間300万円)
  • 現在の保有資産:1000万円
  • 運用利回り:4%
  • サイドFIRE後の年間収入:パート等で毎月8万円(手取り年間96 万円)
  • サイドFIRE後の年間支出:毎月25万円(年間300万円)
    →サイドFIREに必要な金額=(300万-96万)×25=5100万円

子どもが自立した後に早期退職をして悠々自適の生活を楽しもうとしている夫婦です。2人暮らしとしてはまあ平均的な25万円程度で暮らすことができて、長く働いているのでお給料も結構貰っています。子どもを自立させながらもちゃんと資産を貯めていて、1000万円も余裕があります。

そんな人がサイドFIREに必要な金額は5100万円で、貯めるまでにかかる年数の目安は11年です。悪くない数字ですが、子どもが自立しているということは、40~50代の可能性が高いので、あまり早期退職にはならないかもしれません。このケースを見ると普通に子どもを育てて、普通に暮らしているだけではサイドFIREをするのもなかなか難しいことがわかります。

このケースの人は一般的に見て、収入が劣っているわけでも、保有資産が少ないわけでも、支出が多すぎるわけでもありませんよね。サイドFIREを目標として資産形成するのであれば、世間一般よりも高い基準で資産形成をしていくことが必要になります。

著者:節約マスクかおる

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