災害備蓄に梅干しを みなべ町、東京で呼び掛け

備蓄用梅干しの導入を呼びかける西本豊副町長(左)と平喜之うめ課長(左から2人目)=東京都で

 和歌山県みなべ町は特産の梅干しを災害時の備蓄用食品にしてもらおうと、東京都の区や市に売り込んでいる。今年も今月24~26日に訪れ、熱中症防止や殺菌作用、疲労回復の効果が期待できる梅干しを備えにと呼びかけた。備蓄用だけでなく、日頃から食べてもらえるようにもPRした。

 近年、全国的に地震や風水害などの災害が多発しており、とりわけ東京都内は人口が多いことで備蓄用食品の需要が高いとして、みなべ町は2015年度から区や市を回って、梅干しを売り込んでいる。昨年度までに荒川や江東、杉並など11区と三鷹市で導入してもらっているという。

 今回は、西本豊副町長とうめ課の平喜之課長が、これまで納入している荒川区や杉並区、墨田区など6区を訪れ、導入してくれたことに礼を言い、再度注文してもらえるよう要望した。新たに西東京市や国分寺市、港区も訪れ、導入を呼びかけた。町田市や島しょ地域で導入してもらえるよう都議会議員にも働きかけた。

 各市区で平課長らは「災害で避難所生活が続くと、体力的にも精神的にもきつくなる。梅干しでリフレッシュできる」などとアピール。熱中症予防や疲労回復、抗ウイルス作用などの機能性も説明した。

 各市区の担当者からは「地震で帰宅困難者が多く出るケースがあり、そんな人にも提供できればと思う」「イベントなどで区民に紹介してみてはどうか」「出前授業に来てもらいたい」などといった声があったという。

 備蓄用梅干しは、JA紀州が製造する長期保存ができる1次加工の「白干し梅」で、1個ずつ包装されている。塩分濃度は約20%で、常温で5年間の保存が可能だという。梅干しは農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」でもお薦め食品として紹介されている。

 みなべ町は備蓄用にとどまらず、日頃から梅干しを食べてもらえるよう、梅の人気品種「南高梅」の機能性やおいしさをアピールしている。イベントなどでも、区民らにPRしていきたいという。

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