桜井玲香主演 ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』音楽の世界に飛ばされて!孤独だったヒロインの旅の行方は?

有名な『オズの魔法使い』をベースにしたミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』が東京公演を終えた。新型コロナウイルス感染症の影響により、東京公演は大幅に短縮されたものの、無事に終幕、全国公演へと突入する。

映画などでよく知られている『オズの魔法使い』をベースに新しい物語を構築、作・演出は田尾下哲、作曲・音楽監督は宮川彬良。キャストはドロシーに桜井玲香、かかしは蒼井翔太・鈴木勝吾(Wキャスト)、ブリキに渡辺大輔、ライオンは小野塚勇人・栗山航(Wキャスト)、東の魔女に伊波杏樹、オズの精は横溝菜帆、そして西の魔女に凰稀かなめ、オズに鈴木壮麻というミュージカル実力派がキャスティング。

物語の出だしはとある総合大学のオーケストラ部。メンバーが集まってそれぞれ練習をしているが、雑誌を読んでたり、スマホをいじってたりする者も。そこへコンサートマスターを務めるドロシー(桜井玲香)が入ってくる。彼女はすでにプロのヴァイオリニストとしてすでに活躍、父も著名なコンサートマスター、早い話が”サラブレッド”。もちろん、オケのメンバーはそれを知っている。学生生活最後の定期演奏会が近づいている。有終の美を飾りたいのは山々だが、卒業してからの進路についてはそれぞれ悩みや葛藤を抱えている。真面目を絵に描いたようなドロシーはリハーサルを増やそうと提案、楽団員が満場一致で賛成、というわけではなく皆諸々の事情がある。プロの演奏指導員・ウェスティン(凰稀かなめ)がドロシーに言い放つ「彼らのことを、分かっていない」と言い「傲慢」とも言う。ドロシーにとっては想像以上の摩擦、そしてメンバーの自分に対する見方、感じ方。ドロシーもウェスティンもメンバーもそれぞれの”正論”、だが接点がない”正論”、そんな彼らの状況を不穏な音楽が奏でる。「練習しよう」と歌えば「練習ムリ」と返す。大ショックのドロシーは思わず、「ちょっと考えるから」とその場を離れる。一人になり、考え込む。「多いのね私のアンチ…これじゃ人生最大のピンチだわ!」と歌う。子供の頃の父の記憶、音楽の素晴らしさ、皆が一つになることの喜び。だが、現実は…。みんなを傷つけてると感じたドロシーはヴァイオリンケースの蓋を閉めた…途端に!!五線譜は宙を舞い、あれよあれよと言う間に!異世界へ!そこは、なんと音楽の都、オズの支配する国だった…。

テンポの良い展開、スピーディーにドロシーの置かれている状況を見せる。五線譜をモチーフにしたセット、丸く、縁取ったり、場面によって移動、また照明によって変化。ここの住人は皆、楽しそうに音楽を奏で、チャールストンを踊る、ここは賑やかなショー場面、クラップで客席も盛り上がれそう。ドロシーはここがどこなのかを知る。そこへオズ(鈴木壮麻)がやってくる。ドロシーと紳士との会話、ここで観客は明快に知る、ドロシーの抱えている問題を。

オズの精(横溝菜帆)と共に歩み出す、冒険の旅へ、音楽と共に。有名な『オズの魔法使い』を下敷きにしているので、旅を共にする”例の”仲間たちに出会う。カカシ、ブリキ、ライオン。しかも「ん?」、彼らはオケにいるメンバーにどこか似てたり。指揮者だったと言うカカシ(蒼井翔太・鈴木勝吾(Wキャスト))、自信が持てない、ドラムを叩くブリキ(渡辺大輔)は空気が読めない、サックスを吹くライオン(小野塚勇人・栗山航(Wキャスト))はプレッシャーに押し潰されている、それぞれ悩みを抱えており、落ち込む。そんな彼らに出会い、それぞれ欲しいものを授けてもらおうと4人でオズのお城を目指すが、さまざまな困難に出会う、と言うのが大体の流れ。

よく知られているケシの花畑や東の魔女(伊波杏樹)、西の魔女(凰稀かなめ)登場、蜂も蜘蛛も出てくるが、どのように登場するかはお楽しみ。そして、物語が始まった時点で観客はラストのオチもなんとなくわかってしまうのだが、そこにたどり着くまでの過程、ミュージカル仕立てなので、とにかく楽曲が多彩、音楽の国という設定なので、楽曲はほぼ全てのジャンルを網羅してるのでは?と思うくらい!さすがの宮川彬良と思ってしまう。ちなみにミュージカルナンバーは27曲、バリエーションも含めると軽く30曲超え、とにかく楽曲だけ聴いていても楽しいし、ストーリーを滑らかに、観客を作品世界へと誘う。

歌唱力の高いキャスト陣が揃っているので、とにかく歌は全てが聴かせどころ、アンサンブルの活躍、実に多くのキャラクターをこなすので、ここも必見。映像演出を使わず、ドラゴンも大きな顔も全てがマンパワー、絵本から飛び出したような。ここはアレクサンドラ・ラターの手によるもの、パペットを使った『もののけ姫』で初来日したクリエイター、アートでどこか可愛らしい動きに注目。

舞台上には常に音符、五線譜、視覚的にも音楽に包まれている、という表現。周囲から「なんでもできる」とみなされ、孤独で、しかも皆の期待に応えようと空回りしていたヒロイン・ドロシーとそれぞれ問題を抱えていたカカシ、ブリキ、ライオン、それを解決するにはオズの魔法使いに会わねば、と思っていたが、彼らは途中で気が付く、誰かに授けてもらうものではないことを。

もちろんバッドエンドではなく、絵に描いたような単純なハッピーエンドでもなく、ただ、どこか温かいものが心に残り、ちょっと考えさせられる部分もあり、エンターテインメントに徹しつつ、そういったメッセージも織り込む。大半の観客にとっては、所々で”自分ごと”のように思える大人の『寓話』、もちろん子供にもここで発せられているメッセージは届くはず。自分でも気がつかない内なる何か。ドロシーたちはうまくいかない、失敗もする、そこで落ち込む、いわばそれは誰にでもあること。だが旅することによって、希望と前を向く気持ちが蘇る。
2幕もののミュージカル、ドロシーと共に泡沫の”夢”の世界へ、舞台そのものも制限時間内の”夢”、9月3日より静岡で全国公演が始まり、10月12日、高崎にて大千穐楽となる。

ストーリー
ドロシーは、とある都会の大学生。 学校のオーケストラ部ではコンサートマスターを務め、 外ではプロのヴァイオリニストとして活躍する一面も持つ。
学生最後の定期演奏会を前に追加リハーサルを決定したドロシーに対し、 それぞれに生活のある楽団員たちからは不満が噴出。 それまで頼られることしかなかったドロシーはショックから練習室を飛び出し 自らヴァイオリンを封印しようとする。
すると不協和音が鳴り響き、楽譜や楽器が飛び交って…。
気がつくとそこは、現実とはかけ離れた異世界・音楽の都「OZの王国」だった。 ヴァイオリンを封印したドロシーを待っていたものは――。
<インタビュー記事>

概要
日程・会場:
東京
2022年8月27日~28日 日本青年館ホール ※公演終了
静岡
2022年9月3日(土) 静岡市清水文化会館(マリナート)
愛知
2022年9月10日(土)・11日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
広島
2022年9月13日(火) 広島文化学園HBGホール
兵庫
2022年9月16日(金)~19日(月・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
福井
2022年9月21日(水) フェニックス・プラザ
富山
2022年9月23日(金・祝) オーバード・ホール
鹿児島
2022年9月28日(水) 川商ホール(鹿児島市民文化ホール) 第1ホール
福岡
2022年10月1日(土)・2日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
群馬
2022年10月12日(水) 高崎芸術劇場 大劇場

作・演出:田尾下哲
作曲・音楽監督:宮川彬良
出演:
ドロシー 桜井玲香
かかし 蒼井翔太・鈴木勝吾(Wキャスト)
ブリキ 渡辺大輔
ライオン 小野塚勇人【劇団EXILE】・栗山航(Wキャスト)
東の魔女 伊波杏樹
オズの精 横溝菜帆

西の魔女 凰稀かなめ
オズ 鈴木壮麻
アンサンブル
荒木啓佑 / 井坂泉月 / 石井大希 / 大山五十和 / 古清水愛奈
後藤紗亜弥 / 咲花莉帆 / 瀬戸口希哉 / 森山晶之 / 渡部光夏

スウィング
飯嶋あやめ

企画・製作:関西テレビ放送
制作協力:ycoment
公式HP:https://www.ktv.jp/dorothy-musical/
公式ツイッター:https://mobile.twitter.com/dorothy_musical

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