「救える命が1匹でも増えれば」動物園内に専門病院誕生 “爬虫類のお医者さん”の現場はー静岡・河津町

今年6月、静岡県内初となる爬虫類専門の動物病院が河津町にオープンしました。ペットとして人気が高まる爬虫類の健康を管理する診察現場を取材しました。

河津町に今年6月、開業した動物病院。診察を受けていたのは「リクガメ」です。実はこの病院爬虫類・両生類を専門に診ています。爬虫類専門動物園「iZoo」の敷地内にあります。

<体感型動物園iZoo 白輪剛史園長>

「近年、爬虫類の飼育人口が激増して来た。その医療はまだまだ診ていただける獣医さんが少ない状況で、犬猫を見ている病院に連れて行っても断れるケースが多かった。そのために爬虫類の専門の動物病院を作りたいと思って、iZooに併設して外来診療を受け付けることにしました」

病院には超音波診察ができるエコーや自動麻酔器、電気メスなど最新の医療機器が整えられています。

この日は、iZooから診察と治療のためヘビとトカゲが持ち込まれました。

<診察の様子>

「この子の鳴きはどう?問題なさそう?」

「口の周りが腫れていますね」

「顔の周りだね」

「口の中はきれいだね」

国内ではあまり飼育されていない希少種のイグアナです。

<診察の様子>

Q.何を診ている?

「皮膚に赤みがあって、皮膚炎で原因がはっきりしなかったので、細菌性の皮膚炎ではないかと治療していたが、今のところ治療でそういた細菌の感染でなっている皮膚炎ではなさそう」

皮膚炎を起こしていたイグアナには、ビタミン剤の注射をして経過観察することに。

<iZooの病院 後藤正院長>

「(爬虫類は)見た目で血管がどこにあるかや哺乳類とは違うところがたくさんあります。そういった動物に注射を打つにしても場所が限られたりしますので、獣医としてそのようなところが一番苦労するかなと思います」

ひと言で爬虫類・両生類といっても、ヘビは3000種、トカゲは4500種以上もいるといわれ、専門医療機関の需要は高まっています。

こちらの病院では、診察だけではなく「爬虫類ドック」にも力を入れています。レントゲンで内臓や骨に異常がないか確認します。

<体感型動物園iZoo 渡部那智飼育主任との会話>

「普段は餌はどんな感じで与えています?」

「餌はアフロック(アフリカンロックモニター)に砂肝と鳥のモモ肉を与えていて」

「内臓に脂肪を蓄えすぎということもないので、継続的にあげてもらってかつモニターフィード(人工飼料)で十分ビタミンやミネラルの面もちゃんとしたものを取れているかなという感じなので」

獣医と飼育員が連携し、飼い主に適切な飼育方法をアドバイスします。

<体感型動物園iZoo 白輪剛史園長>

「爬虫類は10000種類くらいの大きな集合体なので、それらを全部網羅して診るのはかなり困難なんですが、できる限り救える爬虫類が1匹でも増えればいいなと思っています」

全国的にも珍しい爬虫類の専門病院。獣医と飼育員の連携を深めながら、小さな命を守っていきます。

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