江ノ電が開業120年 経営の課題と展望、楢井社長に聞く 江の島周辺の観光活性化に注力

江ノ電・楢井社長

 江ノ島電鉄(藤沢市片瀬海岸)は9月1日、1902(明治35)年の鉄道開業から120周年を迎える。「江の島詣」の観光ルートを源流に、藤沢・鎌倉エリアの公共交通として地域に欠かせない存在となった。近年は、ポストコロナを見据え、江の島周辺の観光活性化に力を注いでいる。地域密着の経営について、楢井進社長に課題と展望を聞いた。

 -開業から120周年、コロナ禍で激減した観光客が回復するなど新局面を迎えている。

 「湘南地域は生活と観光が混在する全国でも珍しいエリア。コロナ禍以前の諸課題を教訓に分散観光に取り組んでいる。ただ、課題のオーバーツーリズム(観光公害)は当社だけで解決できるものではない。地域全体で改善に向けた取り組みが必要だ。例えば観光施設や企画乗車券の料金を休日と平日で差別化するなど、多くの関係者と協議することが必要ではないかと思っている」

 -ポストコロナを見据え、江の島へのさらなる集客を本格化させている。

「江の島観光は当社の原点。現状では多くの観光客が鎌倉方面から江ノ電に乗車しているが、その一部を藤沢方面から入るよう誘導できればと考えている」

 「昨年から江の島頂上部に広がるサムエル・コッキング苑の大規模改修に着手した。江の島には年間800万人の観光客が訪れているが、頂上部の来訪者は200万人にとどまっている。これまでは夜間のイベントが中心だったが、昼間のさらなる集客が課題だ。年間を通じて一日中楽しめる観光庭園にリニューアルし頂上部の魅力を高め、シャワー効果で島全体に経済効果を波及させたい」

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