栃木県でパートナーシップ宣誓制度スタート 広がる支援 22市町、公営住宅入居可に

宣誓カップルに交付されるカードの表面(上)と裏面

 栃木県は1日、性的少数者を含むカップルの関係を公的に証明する「パートナーシップ宣誓制度」を導入する。県営住宅への入居が可能になるなど家族と同様の扱いが受けられるようになる。下野新聞社の取材では、県の導入に合わせ、県内25市町のうち18市町が同日から、パートナーシップ宣誓者が市町営住宅にも入居できるようにする方針。既に入居可能としていた4市町と合わせ計22市町になる。公営墓地使用権の引き継ぎを認める自治体も7市町に増える。

 同制度では県の窓口に申請すると、宣誓カードが交付される。県営住宅の入居のほか、中核病院を中心とした県内13医療機関で、親族と同等の面会ができるようになる。新婚夫婦らが協賛店舗の特典サービスを受けられる「とちぎ結婚応援カード」も発行される。

 県内では既に鹿沼、栃木、日光、野木の4市町が独自のパートナーシップ宣誓制度を導入しており、これまでに計8組が宣誓。1日に独自制度を導入する佐野市を加えた5市町では、各市町窓口で申請すれば県のサービスを利用できるようになる。

 市町営住宅への入居は鹿沼、栃木、日光、那須の4市町が既に認めていた。

 9月からの対応を見送るのは3町。益子町は「条例の文言に照らすと難しいと判断したが、他市町の動向を見ながら今後検討する」と説明。壬生町は「今後の対応に向け準備中」とした。野木町は施設の老朽化で申し込みを停止していることが理由。

 公営墓地の権利継承は、独自制度を導入している4市町に加え、宇都宮、佐野、矢板の3市も新たに認める。

 宣誓制度は全国で8府県が導入済みだが、法律上の制度ではないため県外へ引っ越すと、転居先で宣誓をやり直す必要がある。都道府県間で協定を結び手続きを簡素化する動きもあり、県は先行する茨城や群馬をはじめとした他県との連携を模索する方針。

 制度開始を控え、県は性的少数者への理解促進を図るポスターを1600枚作製し、各市町の施設や学校に掲示した。県人権施策推進室は「積極的に宣誓制度を活用してほしい。制度が生きづらさの解消につながれば」としている。

 

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