フォード・マスタングに乗るリー・ホールズワースが、2022年限りでフルタイム引退を表明/RSC

 オーストラリア大陸が誇る人気シリーズ、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ最大のイベント『バサースト1000』で、昨季2021年大会を制覇したリー・ホールズワース(ペンライト・グローブ・レーシング/フォード・マスタング)が、2022年限りで現在のレギュラーシートから退くことを発表。39歳のベテランが今季限りでフルタイムからの引退を表明した。

 昨年はパートタイムの耐久カップ登録ドライバーとしてウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドに加入し、チャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB)とのペアでバサースト制覇の栄冠を勝ち獲ったホールズワースは、その実績を引っ提げて2022年よりペンライト・グローブ・レーシングのレギュラーシートを獲得。第3戦『メルボルン400』では3位表彰台を手にするなど、堅実な走りを続けてきた。

 しかし、フルタイム復帰初年度にして「今後は家族とより多くの時間を過ごすため」後進にシートを譲る決断をすると同時に、来季2023年以降はふたたびコドライバーの役割で、耐久カップ戦のグリッドに留まる意向を示した。

「僕は自分のアプローチと“復活力”を誇りに思っているし、そのことを感謝しつつフルタイムの役割を離れる決断を下した」と語ったホールズワース。

「また、トラックの内外で築いた数え切れないほどの友人にも、謙虚な気持ちを抱いている。スーパーカーで参戦した500以上のレースと、このスポーツにおけるハイライトに数えられるバサーストでの勝利……そして3つの異なるメーカー(ホールデン、フォード、メルセデス)で記録した勝利と表彰台を忘れることはないだろうね」

 ホールズワースは後半戦に残るレースでも引き続きフォード・マスタングの10号車をドライブする予定で、今季のバサーストでペアを組むチーム期待の若手、マット・ペインが来季以降のレギュラーを引き継ぐと見られている。

「もちろん2022年の残りの期間は、チームとそのパートナー、そして心と魂を注ぐ献身的なスタッフとクルーに対し、最高の結果をもたらすことに全力を尽くすつもりだ。そして僕を迎えてくれたグローブのファミリーにも感謝している。僕は今季、チームに貢献し、その一員であることを楽しんで来た。その旅はまだ終わっていないんだからね!」

RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ最大のイベント『バサースト1000』では、チャズ・モスタート(Walkinshaw Andretti United/ホールデン・コモドアZB)とのペアで2021年度ウイナーに輝いた
『バサースト1000』制覇の実績を提げ、今季からPenrite Grove Racingのレギュラーシートを獲得した

■引退に際し、マクラフランやウィル・パワーらもSNSでコメントを発表

 シリーズを代表するレーシング一族だったケリー・ブラザーズからチーム運営権を引き継ぎ、今季よりグローブ・レーシングとして本格的なチーム運営に乗り出したステファン・グローブ代表は、ホールズワースの決断を最大限に尊重し、敬意と感謝を示す言葉を贈った。

「我々にとって初のスーパーカー・シーズンとなる2022年の開発を促進するため、リーをチームに迎える機会が与えられたと知ったとき、我々はすぐに彼の経験を確保するため動いたんだ」と明かしたグローブ代表。

「彼は真のレーサーであり、今季のバサースト1000でもマット・ペインと一緒に仕事をしてくれることを楽しみにしている。彼が走り続けるのを見たいとは思っているが、同時に人生のこの段階で彼が選択した方向性も理解している」

「彼の経験は、チームが成長を続ける今季、チームにとって真の資産となっているんだ。我々としても今、彼がフルタイムのキャリアにふさわしい高みに登るために、可能な限り最高のパッケージを提供することに集中したいと考えている」

 8月最後の火曜日に電撃的アナウンスとなってパドックに伝えられた引退の報は、ライバルやドライバー仲間にも驚きをもって迎えられた。

 昨年12月の“グレート・レース”でともに優勝を飾ったモスタートは、自身を「国民的アイコン」と呼んだ先輩の知らせに誰よりも早く反応し「あなたの躍進と成長を見るのが大好きでした。あなたと一緒に戦うレースが大好きで、あなたと対決するレースも大好きでした。あなたの次の章の成功を願っています」と自身のSNSに綴った。

 また、2006年にフルタイムのデビューを飾ったゲイリー・ロジャース・モータースポーツで、チームメイトも務めた現インディカー・ドライバーの“スーパーカー3冠王者”スコット・マクラフランや、その北米での僚友で隣国ニュージーランド出身のウィル・パワーも「本当におつかれさま、今後の成功を願っています」「リーの偉大なキャリアに、最大限の祝福を」と揃って投稿した。

 そしてアルバートパークの表彰台をホールズワースと共有した、現在のチームメイトであるデビッド・レイノルズも「偉大なキャリアを祝福します。でも、あなたがフルタイムを辞めてしまうのは悲しい……」と、リタイアを決めた僚友を称えるコメントを残している。

「彼の経験は、チームが成長を続ける今季、チームにとって真の資産となっている」とステファン・グローブ代表
「あなたがフルタイムを辞めてしまうのは悲しい……」と、心情を吐露した現僚友のデビッド・レイノルズ(左)

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