8月は「円安」関連倒産が5件発生 累計7件、2021年の年間6件を超す~「為替」関連倒産~【2022年8月速報値】

 8月の「円安」関連倒産は、今年最多の5件(前年同月1件)発生した。2022年1-8月累計は7件に達し、2021年の年間(1-12月)の6件を超えた。
 日銀が発表する東京市場ドル・円スポット(17時時点)は、6月30日1ドル=136.20円だったが、7月29日は1ドル=132.78円と一旦円安に歯止めが掛かった。だが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレ抑制への厳格な姿勢をみせたことで円安が加速、8月30日は1ドル=138.46円と再び円安が進んだ。
 7月の企業物価指数(日銀公表)は前年比8.6%増(速報値)に対し、消費者物価指数(総務省)は同2.6%増と、伸び率に大きな差が生じている。
 また、東京商工リサーチ(TSR)が8月に実施したアンケート調査では、調達価格の高騰で販売価格に「転嫁できていない」企業は48.5%と、ほぼ半数に達した。
 コロナ禍の急激な業績悪化に加え、原油高や円安、ウクライナ情勢などで物価が上昇している。この状況では中小企業の資金繰りへの悪影響が懸念され、倒産の押し上げ要因になりつつある。

円安

© 株式会社東京商工リサーチ