コロナ全数把握、福井県も簡略化 「発生届」を重症化リスクある高齢者らに限定、9月14日にも開始

新型コロナウイルス感染者の発生届の限定化について説明する杉本知事=9月1日午前11時ごろ、福井県庁

 新型コロナウイルス感染者の情報を医療機関が保健所に届け出る「発生届」について、福井県の杉本達治知事は9月1日、軽症者らの届け出を不要とし、高齢者ら重症化リスクのある人に限定すると発表した。業務が逼迫(ひっぱく)する保健所や発熱外来の負担軽減に向けた措置。届け出対象外となる軽症者は人数と年代のみを把握する。9日までに国に申請し、早ければ14日から適用を始める。

 各都道府県はこれまで、感染者全員の氏名、住所、生年月日、症状、基礎疾患の有無などの情報を届け出る「全数把握」で運用。国は発生届の入力が医療逼迫の一因となっている状況を受け、都道府県の判断で緊急避難的に届け出を限定することを認めていた。全数把握の簡略化は、宮城、茨城、鳥取、佐賀の4県が2日から先行してスタートする。

 福井県によると、政府の情報共有システム「HER-SYS(ハーシス)」を通じた発生届の入力作業は、陽性者の確認が多い発熱外来の場合、1日当たり1時間以上かかることがある。陽性者への連絡など保健所の事務負担も増しており、杉本知事は定例会見で「重症化予防や治療に専念できる態勢づくりを推進したい」と述べた。

 全数把握の簡略化で、軽症者には保健所からの連絡がなくなることから、体調悪化や入院に備えて健康相談体制を整える。発症者と濃厚接触者に発熱外来を案内する「受診・相談センター」と、感染者の健康観察を担う「陽性者・接触者サポートセンター」を統合し、「総合相談センター」を県庁に設置。窓口を一本化し、宿泊療養施設の利用や食料支援についても受け付ける。

 発生届の対象外で療養証明書が必要な場合、患者からの申請に基づき、県がハーシスに入力し発行する。

 一方、政府は今月中にも全国一律で全数把握を見直す方針を表明している。県対策チームの担当者は「現時点で具体的な説明はなく、現在明らかになっている仕組みで見直しを進めた」と話した。

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