救急現場 困惑 休日・夜間に“直電”でコロナ問い合わせ 病院「県の窓口利用を」

救急医療現場で電話を受ける看護師=佐世保市、市総合医療センター

 新型コロナウイルスの流行「第7波」が続く中、感染の疑いがある人らが、休日や夜間に救急医療を担う基幹病院へ電話で直接相談するケースが相次いでいる。検査場所など一般的な「問い合わせ」も多く、電話応対で看護師の手を取られるため、現場は困惑。病院は「長崎県の受診相談窓口などを利用してほしい」と訴えている。
 県北医療の中核を担う佐世保市総合医療センター(同市平瀬町)。休診日に受ける外部からの電話は主に院内の救命救急センターへ回される。8月に入り、休日や夜間に同センターの固定電話が鳴り響く回数が急増。多くはコロナに関する相談だ。同月の休日の着信は1日平均で約66件。14日は午前8時半から翌朝までの24時間で98件に達し、複数の看護師で対応する場面もあった。
 一方、相談内容の7割近くは受診と直接関係がない「問い合わせ」。感染の不安をぶつけてきたり、検査場所などを確認したりする人もいるという。
 救命救急センターには一刻を争う重篤な傷病者も搬送される。現場の負担を軽減するため、他部署の職員も電話応対をサポートしているが、増﨑英明理事長兼院長は「専門的な相談は看護師が受けざるを得ない。病院だけで抜本的な解決は困難」。同センターの平尾朋仁医師は「休日や夜間は限られた人員で救急医療に当たる。電話で看護師の手を取られると、緊急時に迅速な処置ができなくなる可能性がある」と危惧する。
 同様の事態は長崎市の基幹病院でも発生。休日は多くのかかりつけ医が休診しており、保健所も窓口を閉じる。県が設置した24時間対応の受診相談窓口は感染者の急増でつながりにくい状態となり、結果的に問い合わせが救急医療の現場へ流れている。
 県は第7波に入り、相談窓口の電話を3回線から6回線に増設。19日までに10回線に強化した。県感染症対策室は「救急医療機関への直接の問い合わせは遠慮してほしい。かかりつけ医で対応できない場合は、県の相談窓口へ連絡して」と呼びかけている。
 県の相談窓口は「受診・相談センター」(電0120.071.126)。


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