生パスタ、つけ汁そば、焼き鳥も 埼玉・久喜の人気店メニュー7品、冷凍自販機に 口コミやSNSで話題

自販機と自慢の焼き鳥を紹介する「肉の三ヶ尻」の三ヶ尻兼三さん=久喜市鷲宮の久喜市商工会鷲宮支所

 地元の味をいつでもどこでも味わってほしいと、埼玉県の久喜市商工会は鷲宮支所(同市鷲宮)前に8月中旬、自動冷凍販売機を設置した。地元飲食店の人気メニュー7品を販売。口コミで広がり販売数を増やしている。コロナ禍で営業時間が制限される飲食店の人気メニューを人と会わずに、24時間販売できる機会を提供した。

 同商工会は今年1月、急速冷凍装置3Dフリーザーを支所内に導入。地元飲食店とともに、メニューのテイクアウト化や通信販売の促進などに取り組んでいる。

 新型コロナの影響で、外食の機会が減り、冷凍食品の需要が増えているという。冷凍技術は進歩しているが、機材が高額で中小企業では手が出ないのが現状だ。商工会が補助金を得てフリーザーを整備し、地元飲食店に利用を働きかけている。

 これまで冷凍食品として商品化したつけ汁そばや生パスタ、和菓子など、地元人気店の七つのメニューを価格千円前後で販売している。商工会によると、口コミや交流サイト(SNS)などを通じて自販機の存在がうわさになり、じわじわと売り上げを伸ばしているという。

 地元で46年親しまれている「肉の三ヶ尻」(同市鷲宮)は、自慢の焼き鳥8本パックを千円で販売している。店の営業時間は午前9時から午後7時。焼き鳥の消費が多い夜間帯にも、お客さんに味わってほしいとの思いだ。

 店主の三ヶ尻兼三さん(71)は商工会と連携し商品開発に力を注いできた。課題となったのは、購入後の解凍方法や温め方。焼き鳥のおいしい食べ方を丁寧に説明したレシピも付けた。「冷凍に挑戦し、お店で出しているものと変わらない味を楽しんでほしい」と三ヶ尻さん。一方、自販機を通じて店を知ってもらえればと、広告効果にも期待を寄せている。

 同商工会は「何とかコロナで下がった売り上げの回復を下支えしたい。非接触で、職人の味をいつでもどこでも楽しむことができる。久喜発のヒット商品が生まれれば」と話している。

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