F1オランダGPにフェイクのグラベルトラップが導入。トラックリミット違反&砂利飛散対策の新たな試み

 2022年F1オランダGPの週末、ザントフォールトにおいて、フェイクのグラベルエリアが試験的に導入されることになった。これは、トラックリミット違反への対策であるとともに、コースオフしたマシンがコース上に砂利をまき散らすことを防止するためのものでもある。

 ターン12の縁石の外に、1mの幅の小石が固められたエリアが設置され、その外は通常のグラベルトラップとなっている。これによりコースオフでグラベルをコース上にまき散らすことを防ぐ効果が期待される。さらに、この“フェイク・グラベルトラップ”上はグリップが低いため、ドライバーたちはここに乗ることを避けようとするはずだ。

2022年F1第15戦オランダGP ザントフォールトにフェイクのグラベルトラップが設置

 オランダGPのスポーティングディレクターであるヤン・ラマースは、この新たな試みについて、次のように説明した。

「ターン12に新たな変化が加えられる。イン側の1mは、グラベルがコース上に散らばることを防ぐため、グラベルに見えるが実際にはターマックのような部分を作った」

「ここを利用することはできない。滑りやすすぎるし、バンピーだからだ。少なくともさまざまなデブリがコース上に散らばることは避けられるので、他のコースにとっても良い開発であると思う」

 このエリアを事前にチェックしたランド・ノリス(マクラーレン)は、ポジティブな印象を抱いたようだ。

「多くのドライバーが好むのは、ランオフがないことだ。それは良いことだよ」とノリスは言う。

「グラベルがあって、その先にバリアがある。ドライバーは、グラベルにはみ出したくないし、バリアに突っ込みたくもない。でも同時に大きなリスクを冒すかどうかは、そのドライバーにかかってくる。速いタイムを出すため、ラップタイムをゲインするために、より大きなリスクを冒したいを思うドライバーは、挑戦することができるんだ」

「だから、こういうことによって、トラックが楽しくなるし、一番大きなリスクを取ったドライバーが有利なサーキットにもなるわけだ」

2022年F1第15戦オランダGP フェイクのグラベルトラップをチェックする角田裕毅(アルファタウリ)

 F1のCEOであるステファノ・ドメニカリは、オランダGP主催者の試みを歓迎している。

「ランドの言うことには同感だ。スパのターン1のことを思い出してほしい。以前はすべてアスファルトだったので、誰もがターン1で飛び出していった。あれは個人的には好きではない」

「バリアがあるトラックには制限がある。プッシュしすぎないようにしなければ、クラッシュしてしまうのだ。グラベルも制限になる。だからコース外に出たのか出ないのか、トラックリミットについて議論をする必要もない」

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