9月初旬は “鬼門” 夏休み明け 子どもの異変を見逃さない 専門家「より一層寄り添って」

広島県内の大半の小学校で夏休みが終わりました。ただ、この夏休み終わり子どもたちの異変を見逃さないことが重要です。その異変にどうすれば気づくことができるのでしょうか?

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県内では、3学期制の公立小中学校の7割以上で1日、始業式が行われました。生活リズムが変わり、子どもたちにとってストレスを感じやすい時期でもあります。

2015年に内閣府が発表した18歳以下の日にち別の自殺者数です。9月1日が1年で最も多く、長期休暇直後の子どもたちの心のケアが重要だとしています。

20年以上にわたって、子どもたちの悩みに耳を傾けてきた「広島チャイルドライン」の上野さんもこの時期のケアを訴えます。

ひろしまチャイルドライン 上野 和子 理事長
「(2015年)当時は多くの学校が9月1日から授業が始まるということだった。長い休みを経験すると、2学期になって友だちとうまくいくのだろうかとか感じる子どもは少なからずいる。9月1日は『鬼門』、キーワードになる」

一方で、自殺の原因や動機をみると、さまざまな原因や背景が複雑にからみ合っているようです。

毎月、1000件近くかかる電話の多くは、家族にも友人にも悩みを打ち明けられない子どもたちです。

上野 和子 理事長
「先日も家の中に居場所がない。どうしたらいいかと泣きながら中学生の電話がありました。兄弟に比べて自分はダメな子だといわれると」

相談には自殺をほのめかすものもあるそうです。

上野 和子 理事長
「子どもがSOSを、ヘルプを親の前で出せればいいですが、出せない子どもが多いんだということを知っていただきたい」

SOSを出せない子どもたちの存在。教育心理学の分野から、県内で起きた自殺問題の第三者委員を務めた西野教授も指摘します。

広島修道大学 健康学部(心理学) 西野 泰代 教授
「(SOSを)訴えてくれれば大人もそれに向けて支援をしていこうと体制がとれるが、子ども自身が訴えてくれなかったら、なかなか気づくことは難しい」

西野教授は、SOSを出すことができない子どもたちにとって、「第3の場所」が大切になるといいます。

西野 泰代 教授
「家庭じゃなくても学校じゃなくても、ひょっとしたらSNSの中の仲間・世界なのかもしれないし、なにか1つでもそういった場があると、子どもにとっては『居ていいんだ』と思える実感につながっていく。自分のままでいいんだとか、自分はここに居ていいんだと思える感覚を子どもが持てることが、最後の引き金を引かせない」

子どもにとって「居場所」と感じることができる環境を作ることが、子どものSOSを見逃さないために必要なのかもしれません。

広島修道大学 健康学部(心理学) 西野 泰代 教授
「いつもと違うなという『違和感』を大切にしていただいて、ちょっと違うなと思ったら、いつもより一層寄り添う」

ひろしまチャイルドライン 上野 和子 理事長
「見守っているよ。あなたの存在は大事だよというメッセージを送ってもらえれば、子どもは受け取っていると思う」

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