広島に”猛烈な風”もたらした台風の共通点 ~台風11号 予報円”東より”なら特に警戒~

現在、沖縄の南の海上で動きがゆっくりとなっている台風11号。動きが鈍く、同じような海域にいて海水がかき混ぜられる影響などもあって、若干、勢力が落ちていますが、それでも非常に強い勢力です。

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この後、台風はゆっくりと北上して先島諸島を通過、東シナ海へと進みますが、そこで再びやや発達する予想となっています。

そして、対馬海峡付近へ進み日本海へと抜ける予想です。海外の予報機関も含めて、まだ予報円が大きく、朝鮮半島方面へ進むのか、九州方面へ進むのかは定まっていないために予想には幅があります。

ただ、週明けは広島でも風が強まる影響は出てきそうです。広島的に特に気を付けたいケースは、”予報円の東より”を通った場合です。

過去、広島では、九州北部から山陰をかすめながら日本海へと抜けるルートを通った台風によって、記録的な暴風が吹き荒れ、大きな被害が出ているからです。ここ10年以上、県内ではそこまでの暴風は吹いていませんが、平成の前半の頃には、最大瞬間風速が50m/sを超えるような”猛烈な風”が吹いたことがありました。

■”猛烈な風”もたらした平成の台風➀ 台風19号(1991年9月)

平成の広島に猛烈な風をもたらした台風として、筆頭に挙げられるのが1991年の台風19号です。

主に40代以上の多くの方にとって強い印象が残っているのではないでしょうか。特に風による被害が広範囲に及びました。

全国的には「りんご台風」としても有名です。暴風による被害に加えて、巻き上げられた海水による塩害も発生。台風通過後の雨では、大規模な停電も起きました。

■”猛烈な風”もたらした平成の台風➁ 台風18号(1999年9月)

暴風によって工場にある巨大なクレーンが倒壊したのは1999年の台風18号です。広島市中区で50m/s近い最大瞬間風速を観測しています。

■”猛烈な風”もたらした平成の台風③ 台風18号(2004年9月)

日本列島に台風が10個も上陸した2004年。台風18号では記録的な暴風が吹き荒れて大きな被害が出ました。

広島市中区で観測された最大瞬間風速60.2m/sは、今も広島地方気象台のレコード記録です。

平成の時代に広島に記録的な暴風をもたらした台風のルートを見てみると、ほぼ同じようなコースを通っていることがわかります。

九州に上陸時の勢力は940~950hPaと強い勢力のまま接近しています。

現時点で、台風11号の予報円には、過去に大きな被害をもたらしたルートも含まれています。予報円の東よりを通る場合には特に警戒が必要です。
対馬海峡付近を通過する際の中心気圧も950hPa前後で、中心付近の最大風速も40m/s以上と予想されています。強い勢力のまま北上するため気になるところです。

一方で、広島に猛烈な風をもたらした平成の3つの台風と今回の台風11号を比べると、大きく異なる点があります。

当初は非常にコンパクトだった台風11号。沖縄近海で近くにあった熱帯低気圧の雲も取り込んで、雲域は大きくなりました。

ただ、沖縄付近での暴風域の大きさを他の3つの台風と比べると、明らかに違いがあります。今回の台風11号はそこまで広くありません。

仮に平成時代に記録的な暴風をもたらした台風と同じようなルートを通ったとしても、同じように記録的な暴風をもたらすわけではないかもしれません。
とはいえ、予報通りの勢力で北上し、特に予報円の東よりを通った場合は、それなりに広島県にも大きな影響が出ることが考えられます。その場合には、特に「風」と「波」には警戒が必要になってきそうです。

この週末は最新の台風情報を確認しつつ、台風への備えを再確認する機会にしてはどうでしょうか。

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