つらさや弊害理解して 薬害被害者体験語る 高田高安塚分校

 県立高田高安塚分校(山田喜昭校長)で1日、2、3年生17人を対象に、薬害に関する特別授業が開かれた。
 同校の人権学習「命を守る教室」の一環。「薬による健康被害を防ぐには」と題して、「薬害肝炎事件」の被害者で東京原告団の荒井昌子さん(80、東京都在住)と、薬害肝炎原告団・弁護団に所属する弁護士の田中淳哉さん(47、上越中央法律事務所)が講師を務め、薬害事件や差別問題などについて語った。

自身の経験を語る薬害被害者の荒井さん(右)と田中弁護士

 薬害肝炎事件は、止血剤として使われた血液製剤「フィブリノゲン製剤」によってC型肝炎を発症したもの。荒井さんは1972年、双子の出産時に大量出血し、使用された。
 荒井さんは出産直後、急性肝炎を発症。約3カ月の療養を余儀なくされ、生まれたばかりの双子を半年間、乳児院に預けざるを得なかった。体調はその後30年以上、安定していたが、60歳を過ぎて健康診断を受けた際、肝炎の陽性反応が出たため、感染していることを知った。
 肝炎患者であるからと、病院の受診日や時間を限られたり、診療台をラップで覆われたり、何気なく発せられる「肝炎患者だから」などの言葉に傷ついたりした経験を語った。
 「肝炎によるひどい症状は経験していないが、双子を育てられなかった半年間の空白期間は今でもつらい」と吐露。荒井さんは「少しでも患者の気持ちを理解してもらいたい」と、薬害が生む差別や弊害の大きさを生徒に訴えた。
 授業を聞いた3年生の髙澤洸貴君は「薬害について聞くことは今までなく、薬害がこんなに大変なことだということをあらためて実感する機会になった。薬を飲む際は、どういう副作用があるかを意識したい」と話した。

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