9月2日、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで2022年MotoGP第14戦サンマリノGPが開幕した。代役参戦の渡辺一樹（チーム・スズキ・エクスター）がMotoGPに初出場してスズキGSX-RRを初めて走らせたが、そのMotoGPマシンの印象を聞いた。
渡辺はスーパースポーツ世界選手権（WSS）ではカワサキZX-6R、国内に戻ってからもカワサキZX-10R、そしてスズキGSX-R1000に乗ってきた。現在は、FIM世界耐久選手権（EWC）に参戦しているヨシムラSERT Motulの開発ライダーとして、全日本ロードレース選手権のJSB1000クラスに参戦しているYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINのライダーとしてスズキGSX-R1000Rを駆っているが、いずれも市販車ベースのマシンだ。
MotoGPマシンのスズキGSX-RRに乗った経験はわずかしかなく、モビリティリゾートもてぎでのテストでは雨が降ってきたためアウトラップのみ、竜洋テストコースでも走らせたというが、サーキットでの計測は今回のサンマリノGPが初めてとなった。
いつもジョアン・ミルが乗っているマシンのポジションを渡辺仕様に合わせて走らせ、ドライコンディションのなかFP1ではソフトタイヤ、FP2ではミディアムタイヤも履いた。
「乗ってみての感想は、すごく乗りやすいバイクだなと最初に思いましたね。本当にライダーが動かしたとおりに動くバイクで、ものすごく繊細に作り込まれているなというイメージがすごくありました」と渡辺はGSX-RRの印象を語った。
「ブレーキももちろん、世界最高峰のものがついているし、すべてがこのレースのためだけに作られたっていうのを本当に体感しました。すべてがライダーのためにある、すべてが速く走るためにあるというのを本当に体感しながら走ってる感じですね」
MotoGPではカーボンディスクとなり、ブレーキの特性が異なることがよく挙げられるが、「ブレーキに関しては、走行前にチームから温まるまであまり効かないから気をつけてねという話を聞いていましたが、ピットロードでしっかり温めて、コース上に出ていけば全然問題はなくて、レーシングスピードで走っている間、自分は一切問題は感じていません。めちゃくちゃコントロール性も良いし、すごく効くし、さきほどの話と同じで、すべてがライダーの操作した通りに動きますね」と述べた。
「過去にちょっと試乗した時にもびっくりしたところがあって、シームレス（ミッション）のシフトショックがなく、シフトアップしていて加速に途切れがまったくないっていうのが、やっぱり今回走り始めても、最も衝撃を受けました。ギヤを変えて変速するという動作が、今までの概念とは違うという印象がすごく強くなったというところです」
エンジンに関しては「当然最高速度で言えば、この短いコースでも300km/h近く出るようなエンジンパワーがあるのにも関わらず、すごく（アクセルを）開けやすいです。あるパワーを落としていくという、ライダーにとって違和感になることが、（MotoGPマシンでは）まったくその違和感がなくて、作り込みというか、すごく良い形でまとまってるんだろうなとは感じます」とコメントした。
MotoGPではワンメイクのミシュランタイヤであり、初日にはソフトタイヤとミディアムタイヤを使用したが、「ソフトタイヤは柔らかくて、特にフロントが潰れちゃってちょっと難しかったです。FP2でフロントをミディアムにして、ちゃんとしたタイヤだなと感じました。コーナリングでブレーキを握って入っていけたり、フィーリング的に良くなった部分が多かったです」と以下のように続ける。
「まだ転んでいないので、限界がどこにあるかを含めてすべての特性を知っているわけではないですが、乗りやすい感じというイメージがありますね。スライドコントロールもすごくしやすいし、唐突なことが起きることはなさそうだなと。怖さはないですね」
予選日からは雨予報であるが、「事前の情報ではミシュランのウエットタイヤはすごくいいとみんなに言われるので、それがどのくらいなのかというのは楽しみにしています」と締めた。
