(クロエビス・浜村建夫=南九州市在住)
朝晩に爽やかな秋の風を感じるようになると、沿岸には多くの種類の回遊魚が現れ釣り人をとりこにする。夜明けを待ち切れないアングラーたちが暗闇の中でスタンバイしている様はまるで異次元の世界だ。
秋口はやはり青物だろう。「ブリ」が代表格だが、この時期の海中にはアジ・サバ類、カツオ類、カンパチ、サワラなどの青物も数多く潜んでおり、運よくヒットすればそれなりのエキサイティングなやりとりが楽しめる。ブリにも勝るおいしい魚も多いので、とにかくがむしゃらに投げてみよう。
磯ではフカセ釣りや遠投カゴ釣りで秋グロが釣れるようになる。季節が進み寒が入るようになると、抱卵が始まり、やがてメタボな「寒グロ」となる。近年人気の「スマ」は南薩ではルアーかサーフトローリングで狙う。スマはマグロ系に属し実にうまい。ヒラメはベイトが集まるサラシ周辺をジグやワームを入念に漂わせる。なお、放流ヒラメは裏側の白い面に茶や黒の文様がありこれを「パンダヒラメ」と呼ぶ。
さて、昨今の温暖化による釣り環境の変化は著しく、誰に聞いても「釣れなくなった」と答える。「釣れない釣り」には魅力がないので釣り人が海から遠のく。年々釣り人が減少しているような気がする。しかし、全く打つ手がないわけでもない。今ならまだ何とかなる。夕飯メニューの一品ぐらいは釣ろう。以下は私の最近の釣行スタイルだが、これまで大きな失敗はないので参考になれば良い。
まず、「朝マズメ」「夕マズメ」は信じがたい。自分自身が「イケル」と感じた時が「時合い」なのである。さらに満潮前後よりも干潮前後の方がヒット率が高い。砂浜で遠投フカセ釣りをやってみるのも面白い。過去の実績釣り場に固執せず、自ら未踏の釣り場を開拓する。
このように「発想の転換」が必要な時なのでは。大切なことは旧態依然の釣りから脱却しポジティブに自身のオリジナリティーとセンスを磨くことだ。