台風11号 先島、暮らしまひ 海路影響、食品薄懸念も

 3日夜から4日にかけて、台風11号が通過した宮古島市では強い雨風が吹き荒れた。風に吹き飛ばされた木の枝や葉が道路を埋め尽くし、あちこちで街路樹が倒れた。城辺保良では金属製の道路標識が根元からなぎ倒され県道をふさいだ。

 スーパーやコンビニエンスストアなども3日から休業を続けている。海は大しけになっており、生活物資の多くを搬入している海路への影響が長引くことも予想され、5日以降も生鮮食品や生活用品不足が懸念される。

 風雨が弱まった午後に平良にある会社事務所の様子を見に来た男性(58)は「上野の自宅が停電している。毎回のことだが本当にきつい。早く復旧してほしい」と話した。

 八重山地方では4日、暴風警報が解除され、各自治体の避難所も閉鎖された。だが一晩中続いた強い雨風の影響で、登野城では農家の新良順一さん(84)のビニールハウスが倒壊した。今年の5月に設置したばかり。台風に強い頑丈なつくりをしており、マンゴーを育てていた。「ショックを受けている。来年のマンゴーの収穫は難しいかもしれない」と肩を落とした。

 新石垣空港では多くの便が欠航となる中、観光客らが電光掲示板で、最新の出発情報を確かめていた。予定していた便がキャンセルとなったため、急きょ、別の便に変更した東京都の自営業、西村浩さん(61)は「飛行機が飛ぶまで安心はできない」と心配そうに話していた。

 沖縄本島でも雨風が吹き荒れた。4日午後、仕事帰りに那覇市のパレットくもじに寄った那覇市在住の60代の女性は「帰りには風が収まっていると思ったがまだ強い」と話し、閉じた傘を持ちながら帰路についた。

 (佐野真慈、西銘研志郎、中村優希)

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