レッドブルF1首脳、コルトン・ハータのアルファタウリ起用について基本合意と発言。スーパーライセンス問題の解決が条件

 BBCなど複数のメディアによると、レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコが、現在インディカーに参戦するコルトン・ハータを来年アルファタウリに乗せることに関する基本合意が、関係者のなかでなされたと発言したという。ただ、それが実現するには、スーパーライセンス規則における免除をFIAが認める必要がある。レッドブルはアルファタウリのドライバー、ピエール・ガスリーの移籍に関し、アルピーヌと交渉中であり、後任のドライバーを検討している。

 現時点でハータはF1に参戦するためのスーパーライセンスを得るのに必要なライセンスポイントを手にしていない。直近3年間で40ポイントが必要なところ、32ポイントしか獲得していないとされる。だがマルコは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生時に、これを考慮した特別レギュレーションがあったことを挙げ、特例が認められる可能性があると考えている。ただ、多くのチーム代表が、例外を認めるべきではないとの考えを持っているようだ。

 2020年に承認された特別規則では、スーパーライセンスポイントを獲得できる期間が直近3年から直近4年に延長され、いずれかの3年間に蓄積された最大ポイント数が対象となり、最低30ポイント取得しシングルシーターのカテゴリーで一貫して卓越した運転能力を実証した者で、40ポイントを取得できなかったドライバーについてはFIAが検討し、判断するとされている。

「驚くことに、すべての関係者とチームのなかで、合意に達した」とマルコが、オランダGP後、アメリカの放送局『SiriusXM』の『SpeedCity Broadcasting』にコメントしたとBBCが伝えた。

ヘルムート・マルコとクリスチャン・ホーナー(レッドブル)

「まずは(FIAから)明確な回答を得なければならない。(次の週末のイタリアGPが行われる)モンツァまでに得られるはずだ」

「我々はレギュレーションを調べ、FIAと話し合いをした。Covidを考慮した特別なレギュレーションがある。(4年のなかの)3年を対象にすることができるというものだ」

「従って、何も不合理なことはない。彼はインディカーで7回優勝している。それはグランプリに匹敵すると思うので、彼がスーパーライセンスを得られなければ、それは残念な話だ」

 一方で、FIAのスポークスパーソンは、「私たちはルールに忠実に行動します。例外を認めることはありません」とコメントしている。ただ、彼自身はこの件についてFIAに打診があったことは知らないとして「もしそういう問題が持ち上がっているのであれば、調査します」とも述べている。

 マルコは、ハータの起用が可能になれば、ガスリーの移籍も認められると述べている。一方、ハータを獲得できない限り、ガスリーがアルピーヌに移籍することを認めないと、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、示唆した。

2022年F1第15戦オランダGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ)

「これはFIAの問題であり、我々は明確化がなされることを求めている。できるだけ早く明確化がなされることを希望する。これがドライバーのメリーゴーラウンドにおいて重要な役割を担っているからだ」

「選択肢が存在しないのであれば、それをきっかけとする他のことが動き出すことはない」

 ハータ起用の可能性についてホーナーは「彼はエキサイティングな才能の持ち主だ。アメリカのなかで突出した才能を持つ若者だ。彼がF1でどのようなパフォーマンスを見せるのか、非常に興味深い。成功を収めたアメリカのドライバーを走らせることは極めて興味深いことだと思う」

「ピエールはアルファタウリで良い仕事をしている。興味深い選択肢がなければ、変更したいとは思わない」

 コルトン・ハータは、インディカー/チャンプカーで活躍したブライアン・ハータの息子で、アメリカ出身22歳。インディカーで7回の優勝経験を持つ。今年はアンドレッティ・オートスポートから参戦している。一方で今年、マクラーレンとテスト契約を結び、7月にはポルティマオで2021年型MCL35Mでのテストを行った。

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