【千葉】銚子の「サバカレー」とは?東京近くにある人気観光地のグルメの謎を探る

日本一の漁場・千葉県の銚子とは?

東京から車で約2時間。関東平野の最東端にある千葉県銚子市は、日本でもっとも水産業が盛んな町のひとつ。ここにある銚子漁港は、なんと11年連続で水揚げ量日本一を記録しています。

銚子漁港で魚がたくさん獲れる理由は、海流が関係しています。暖流の黒潮と寒流の親潮がぶつかる潮目にあり、さらに利根川から流れる栄養豊富な淡水によりプランクトンがたくさん発生する銚子沖では、多くの魚が集まるのです。

銚子漁港では、サバやイワシのほか、サンマ、本マグロ、キンメダイなど、年間およそ200種類もの魚介類が水揚げされています。

魚介類は、生魚で卸されるだけでなく、干物や缶詰に加工されて日本全国に流通している商品も数多くあります。

中でも有名なのは、25年前に人気を博し、現在でもファンが絶えない缶詰の「サバカレー」でしょう。個性的な黄色の明るいパッケージは、一度見たら忘れられないのではないでしょうか。

今回は「サバカレー」を長年製造している信田缶詰(しだかんづめ)で、缶詰作りのこだわりや味の秘密をお聞きしてきました。

日本一の漁場にある老舗の缶詰会社、信田缶詰

サバカレーを製造している信田缶詰は、1905年に創業した会社です。

銚子界隈ではかつて、事業者の冷凍設備が整っておらず、大量に水揚げされた魚があり余ってしまい、餌や肥料に回すことが度々ありました。

そこで「余った魚を無駄なく利用したい」という“もったいない精神”から、缶詰を作り始めました。

創業当時、信田缶詰は板金業も手掛けていました。そこで得た知識をもとに、再利用したビール缶と余ったサンマを使って日本初の「サンマ蒲焼缶詰」を開発したと言われています。

もっとも、“もったいない精神”からスタートしたとはいえ、信田缶詰は、けっして商品のクオリティを妥協していません。

「昔は余った魚で缶詰を作っていたかもしれませんが、現在は逆なんです。原料は基本的に冷凍のものですが、その冷凍の魚は、旬の時期に獲れた鮮度の良い魚を主に使っています」

そう語るのは、生産管理部長の池田祐麻さんです。

池田さんは、安い缶詰を作ろうと思えば、味の落ちた魚や旬を外した魚も利用できると語ります。しかし、信田缶詰が目指すのは、ただ安いだけでなく「おいしいから信田缶詰が良い」と言ってもらえる商品を作ることです。

そのため旬の魚を使うことや、銚子で水揚げされた鮮度の良い魚を使うことに努力を惜しみません。こだわりすぎて、逆に儲けが出なくなる時期もあったといいます。

味にとても強いこだわりのある信田缶詰の商品のうち、今回は「サバカレー」と「美味しいトマトといわし」を試食させていただきました。

大ぶりのサバが入った「サバカレー」

信田缶詰の看板商品として、25年以上の歴史があるサバカレー。1990年代に放送された銚子を舞台にしたドラマがきっかけで、その知名度はグンと上がりました。

サバカレーは名前の通り、大きくカットされたサバがカレーの中に入っている商品。ジャガイモやニンジンよりも大きなサバがゴロっと入っており、存在感も抜群です。見ているだけでお腹が空いてきました!

ひと口食べてみると、柔らかいサバの身が口の中でとろけてびっくり! 生臭さは一切なく、カレーのスパイスと合わさって食べやすい味に仕上がっていました。

白米と合わせてカレーライスにしても、おいしくいただけますが、池田さんのオススメは、お酒のアテとしておつまみ感覚で食べること。具材が大きくカットされているため、箸でも掴みやすく、お酒と一緒に楽しんでいる人も多いそうです。

サバカレー:税込338円(190グラム×1缶)、税込7,280円(190グラム×24缶)

贅沢な気持ちになれる缶詰「美味しいトマトといわし」

銚子は、水揚げ量の約6割をイワシが占めるイワシの名所。そんな銚子にある信田缶詰ももちろん、イワシの缶詰を販売しています。

イワシを使った缶詰の中でも特に人気なのは、「美味しいトマトといわし」。2018年に企画開発がスタートした商品で、「原料」「おいしさ」「差別化」の3点にこだわっています。

「缶詰業界では当時、健康を軸にしたものや、おつまみ缶の市場が確立されていました。そこで弊社では、他社に真似できない“完成された料理”をコンセプトに缶詰を開発しました」

そう語るのは、生産管理部 商品開発課・課長の小林俊之さんです。

小林さんたちは「食べた時に贅沢な気持ちになれる缶詰」を目標に、トマトの加工会社から提供された数十種類のトマトピューレを全て試食。イワシの風味に合うトマトピューレを探しました。

こうした多くの努力を経て完成した「美味しいトマトといわし」は、イワシにトマトの酸味が絡んだ濃厚なテイスト。お皿に移し替えれば、これが缶詰であるとは思えないほどのクオリティです。

缶詰単体でもおかずとして楽しめますが、信田缶詰のインスタグラムでは、缶詰を使ったひと工夫料理も公開中。ちょっぴりの手間と愛情を込めた缶詰料理もチェックしてみてくださいね。

美味しいトマトといわし:税込498円(180グラム×1缶)

オンライン・市内でも信田缶詰の商品が購入できる!

信田缶詰のこだわり缶詰は、オンラインショップや、銚子市内の観光スポットでも購入できます。

今回ご紹介した商品以外にも「ご飯がススム さばのキムチ煮」や「本まぐろステーキ」など、さまざまな商品があるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

信田缶詰のオンラインショップ

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銚子のうまいものが集結した「ウオッセ21」

続いてやってきたのは「ウオッセ21」。銚子で水揚げされた魚介類や干物や缶詰など、銚子の海の幸が集結している観光スポットです。

銚子駅からバスで20分、銚子漁港の目と鼻の先に場所にあります。

「ウオッセ21」には、10ほどの水産物販売店とお食事処が連なっています。その中でも、「あてんぼう」と「嘉平屋」には、信田缶詰の商品もズラリ。

1990年代から、千葉県の学校給食に採用されている「いわし角煮」も発見しました。

千葉県出身の筆者にとっては、小学校の頃に食べていた懐かしの味です!

おみやげ用に購入し、自宅で食べてみると、あの頃と変わらない甘じょっぱい口あたりに思わず笑みが溢れてしまいました。口の中でホロっと崩れる角煮の優しい味わいに、ご飯が進むこと間違いなしです。

さらに、今回は「ウオッセ21」内にあるお食事処「シーフードレストランうおっせ」で、「鰯(イワシ)ソースカツ丼」をいただきました。

大ぶりのイワシが3枚乗っている丼は、見た目以上にボリューミー。カラッと揚げられたイワシは、ジューシーでふっくらした身のうま味が感じられました。

その日の水揚げ量によっては、メニューには記載されていない「鰯のなめろう」が注文できる場合も。

絶妙な塩加減で味付けされたなめろう(※)は、まず醤油なしでひと口食べてみてくださいね。

「ウオッセ21」のすぐ隣には、高さ58mの「銚子ポートタワー」がそびえ立っています。地上46.95mにある展望台からは、銚子の街並みや太平洋が眺望できます。

はるか彼方まで見渡せる大パノラマは、大人も子どもも興奮すること間違いなし!

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近くには犬吠埼灯台や銚子鉄道などの観光スポットも!

銚子には、もうひとつの「日本一」があります。それは、「犬吠埼灯台」で、日本で一番早く日の出が見られるということ。高さ32メートルの西洋式の灯台からは、太平洋を一望できる絶景が堪能できます。

犬吠埼灯台のふもとには、日本の渚百選にも選ばれた「君ヶ浜しおさい公園」も。君ヶ浜しおさい公園から、犬吠埼灯台と日の出を拝んでみてもよいでしょう。

銚子市内には、「銚電」の愛称で親しまれている「銚子鉄道」も走行しています。銚子〜外川(とかわ)駅まで片道6.4km、20分の距離を走っている銚子鉄道は、レトロな雰囲気が人気のローカル鉄道です。

車窓には、海辺の景色やキャベツ畑、ひまわり畑が映り、贅沢な景色を独り占め。銚子の観光名所へと私たちを案内してくれますよ。

東京から2時間弱で行けて、日帰りでも観光できる銚子。豊かな海の幸や心が浄化されるような自然の数々に触れ合える銚子へ、ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

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