誰もが安らげる空間常設へCF 岡山の建築士、機材購入費募る

レンタル機材でしつらえた大西さん宅のスヌーズレンルーム。購入に向けCFで資金を募る

 障害の有無などにかかわらず誰もがリラックスできる幻想的な空間「スヌーズレン」を広めたいと、岡山市南区の建築士大西直美さん(43)が無料体験ルームを自宅に常設する計画を進めている。全身を激しい痛みが襲う病気と闘いながら、心身の不調を抱える人も安らかに過ごせる空間づくりを目標に据える。クラウドファンディング(CF)の力を借り、実現への第一歩を踏み出す。

 スヌーズレンは、暗い部屋にセットした照明や環境音、香りなどが入室者の五感を刺激し、安らぎをもたらすという。重度知的障害者の療育法として約50年前に欧州で考案され、認知症の高齢者や発達障害の子どもらも利用するなど、対象のすそ野が広がっている。

 大西さんは2019年から原因不明の激痛が全身に起きる線維筋痛症を患う中で今年2月、バリアフリーの住まいを提案する事務所を起業。福祉の現場を学びに訪ねた倉敷市の児童施設でスヌーズレンと出合った。

 鮮やかな照明が水泡を照らす装置や影絵のような画像を映すプロジェクターなどを借り5月、自宅で無料体験会を開いた。福祉関係者や親子連れら約40人の反応は上々で「非日常的な空間の力に大きな可能性を感じた」と大西さん。重い障害の子が音に反応して笑うといった普段見せない様子に喜ぶ保護者の姿に心が動き、常設化を決意した。

 オープンを今冬に定め、機材を購入するため山陽新聞社や中国銀行などのCFサービス「晴れ!フレ!岡山」を活用し80万円を目標に支援を募る。締め切りは29日。

 大西さんは「スヌーズレンは、人それぞれが精神的により豊かな生活を送るための手だてになると思う。地域に広まるきっかけになれば」と話している。

 CFの詳細は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/idesign_168)。

大西直美さん

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