米倉涼子、没後25年ダイアナ妃に思いを馳せる「彼女は自由をつかみ取る女性のパイオニア」

1997年8月31日、ダイアナ元皇太子妃が交通事故で亡くなったというニュースは世界中に衝撃を与えた。世界中で「ダイアナ・フィーバー」を巻き起こし、2人の息子を育て、死の直前まで人道支援活動に心を注いだ「愛の人」。36歳という短い生涯を駆け抜けた彼女の生き様は世界中の人々に希望と共感を与え今なお愛され続けている。
2022年の今年、没後25年のメモリアルイヤーを迎え、世界初の劇場ドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』(9/30公開)と、主演のクリステン・スチュワートが第94回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『スペンサー ダイアナの決意』(10/14公開)が続けて全国公開となる。

この度、2作品の公開を盛り上げる“ダイアナプロジェクト”発足につき、プロジェクトアンバサダーを務める米倉涼子が登壇し、ダイアナプロジェクト・キックオフイベントを実施。スペシャルMCとして映画コメンテーターのLiLiCoも登壇し、今でもダイアナ元妃に刺激を受けているという二人が、短い生涯を生き抜いた彼女の魅力について語り合った。

イベントが始まると、スペシャルMCとして映画コメンテーターのLiLiCoが赤の派手なスーツ姿で登場。「米倉さんが素敵な衣装で来られていて張り合っても仕方ないので、私は純烈風できました」と早速会場を和ませる。続いて、ダイアナプロジェクトのアンバサダーを務める俳優の米倉涼子が、ブラックのクラシカルなワンピース、そしてダイアナ元皇太子妃も愛したと言われる、パールのネックレスとピアス、そして12カラットのダイヤのリングを身に着けた姿で登場。衣装のポイントについて、「ボディラインのみえるシンプルなワンピースにして、パールジュエリーが引き立つようしました」と説明。身に着けたジュエリーの総額はなんと1億円。ジュエリーは「色んな意味で重いです」、「今日終わったら持ち帰ってもいいですか?」と会場を笑わせた。また、『スペンサー ダイアナの決意』でもパールが印象的に使用されていたことにも触れ、「普段のダイアナ妃はとても素敵なパールを身に着けていたというイメージがありますが、パールは映画の中で、彼女の人生を締め付ける王室を暗示しているアイテムになっているんですね。そして彼女の決意や人生がどのように変化していくのかということを象徴する、映画のなかでも大事なキーポイントになっていたと思います」と語った。

ダイアナ妃が没後25年を迎える今年公開となる『プリンセス・ダイアナ』『スペンサー ダイアナの決意』2作品の公開を盛り上げるダイアナプロジェクトのアンバサダーにこの度就任した米倉。以前には『ダイアナ』(2013)でダイアナ妃役の吹替えを務めたこともあり、とても思い入れがあったという米倉は、アンバサダーをオファーされたことがとても嬉しかったという。「以前から、ダイアナ妃の決断や成し遂げたことをかっこいいと思っていましたし、尊敬していました。ダイアナ妃をめぐるドキュメンタリー番組ではロンドンやパリに行きダイアナ妃に会ったことのある方から話を聞いたこともあります」と、自身とダイアナ妃の不思議な縁について語り、今回オファーを二つ返事で受けたことを明かした。

次に、ドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』についての話に。本作を観ての感想を、「ダイアナ妃の結婚、離婚と、彼女に人生の全ての決断が凝縮されている映画だと思います。ダイアナ妃が亡くなった当時、私は20歳で海外にもそこまで関心が高かったわけではないけれど、それでもダイアナ妃の死はとてもショックだったのを覚えていて、今この映画で彼女の人生を見届けられた気がしました」と述べた。

また LiLiCoは本作を観て、ダイアナを捉えた映像の多さに驚きを感じたといい、パパラッチに隠し撮りされた映像に「ぞわぞわした」とコメント。メディアや国民や世界中の人目にさらされ続けたダイアナ妃について、「社会から見つめられ期待され、家庭に入れば監視されていて…。完全にリラックスできるオフの日はなかったのだと思う」と米倉も同意した。

ダイアナ妃が王室に嫁いだ20歳という年齢の頃について問われた米倉は、「20歳は、学生を終えモデルを始めた頃で、先輩をみて一生懸命ポーズを覚えたり、キャンペーンガールとして全国を回っていました。到底国は背負えません(笑)。ダイアナ妃は、よく若い時に決断したなと思います」と話した。LiLiCoから、「でも、長い間芸能界のトップで走り続けているでしょ?」と振られると否定するも、「マスコミに至近距離でカメラを近づけられて、精神的にも辛かったと思うけれど、彼女はいつしかうまくマスコミを味方につけ、自分の考えを発信しながらメディアを利用するという部分もありましたよね。自分の弱さをわかっていたからこそ、自分自身を武器にして、強い鎧を身に着けていたのだと思います」と、ダイアナ妃とメディアの関係性についても分析。一方で LiLiCoは 20歳のときにはホームレスだったというエピソードを明かし、「そんな若い時にロイヤルファミリーになるなんて、本当に考えられない」とコメント。そして米倉は「スキャンダラスな報道も多かった人ですけど、弱い人々のために尽くし第一人者になるという意思を持った人だったと思います。彼女が今生きていたら、どんなに凄い人になっていたのかな」とダイアナ妃に思いを馳せた。

また『プリンセス・ダイアナ』の監督であるエド・パーキンズ監督よりビデオメッセージが到着し、場内で上映することに。

監督の「本作は、なぜダイアナ妃が今でもたくさんの人に愛されているかを描いた映画です」というコメントに対し米倉は、「ダイアナ妃が亡くなった時にたくさんの人が花をたむけた映像をみて、人々の間に本当に大きな影響力を持っていたのだなと感じ、彼女が生きた意味について考えさせられました。彼女が発した言葉や行動が、まだまだたくさんの人に受け継がれていて、彼女が亡くなった後でも影響を受けた人たちがたくさんいるのだと思います」と語った。それを受けLiLiCoは、「私は男女平等の国スウェーデン出身だけど、やはり今でも女性が強く自分の意見を押し通すのは難しいですよね」とコメント。米倉も同意し、「女性にも意見を言う権利があるということを彼女は主張しましたが、まさに自ら自由をつかみ取った女性のパイオニアだと思います」と述べた。

続いて、話は『スペンサー ダイアナの決意』に。米倉は、「ダイアナ妃を演じるクリステン・スチュワート、そして衣装や映像全てがとても美しい作品です。離婚を決意する3日間という、ダイアナ妃がとても苦しんだ時間のお話で、彼女の窮屈感や悲しさを表現した映画なのかなと思います」と本作を観ての感想を語った。LiLiCoは、「描かれる3日間はクリスマスで、本来であればとても楽しい時間のはずで、衣装もとても美しいんですけど、決められた服しか着られず、本当に自分が着たいものは着れないという自由が奪われる悲しさを描いていますよね」とコメント。続けて、「実在の人物を描く映画は、似てる似てないの話になりがちだけど、本作ではそれを超越していて、クリステンはダイアナ妃の思いを背負ってまるで本人が乗り移ったかのように演じているから、目の奥でダイアナ妃の心情が宿っているんです」とクリステン・スチュワートの演技を絶賛。米倉も「ダイアナ妃の美しい見た目の裏に隠された破裂寸前の感情がよく表現されていますよね」と話す。

2作品の関連性についての話になると、米倉は、まず『プリンセス・ダイアナ』を観て、次に『スペンサー ダイアナの決意』という順番が、理解が深まりおススメだと話し、LiLiCoも「交互に何度も観たい!」と熱量高く語った。続けて、『スペンサー ダイアナの決意』のキャッチコピー、“私の道は私が決める”にちなみ、同じように思ったことがあるかと問われた米倉は、「自分の職業や生き方について、自分の道は自分で決めるという気持ちを強く持ってやってきたのかなと思います。海外進出もそうですし、生きていく限りは、その思いを持ち続けたいと思いますね」と人生観を語った。LiLiCoも、「スウェーデンから日本にきて辛い思いもしましたし、強そうに見えるかもしれないけれど、もっとその裏をみてほしいと思うときがありました。出役は、褒められる立場でもあるけれど、我慢したり犠牲にするものも多い。レベルは違うけれど、この 2 作品でそういったことも感じとることができますよね」と語る。

最後に締めくくりとして、2作品をどんな人に観てほしいかと問われた米倉は、「2作品から、自分自身を見直すきっかけを与えられたように感じるので、今頑張っている女性、頑張りたいけれど勇気がでない女性、全ての人に観て欲しいと思います。ダイアナ妃がどれほど世界に貢献したかということがわかると思います」と述べ、LiLiCoも「ダイアナ妃の姿をみて、今まで自分はどんなふうに生きてきたかなと振り返り、人生を考えさせられるところがありました。誰もがなんで私だけと思う時もあるかもしれないけれど、ダイアナ妃が多くの困難を越えて生きていた姿を観て、声を持つ勇気を持とう、馬鹿にされてもいいからやりたいことをやってみようと、とても励まされる気持ちになると思います」とコメントし、ダイアナ妃の映画を今観る意味について熱弁した。

最後に、米倉のプロジェクトアンバサダー就任の証に、ダイアナ妃が好きだったというローズがあしらわれた任命書が授与され、イベントは和やかに終了した。

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