神奈川県立知的障害者施設「中井やまゆり園」で虐待疑い25件 調査委が報告書 「人権意識の大きな欠如」

調査委員会のメンバーから報告書を受け取る黒岩知事(右)=5日午後、県庁

 県立知的障害者施設「中井やまゆり園」(中井町)での入所者への不適切な対応を巡り、外部識者による調査委員会は5日、同園で職員による虐待が疑われる事案が25件あったと明らかにした。このうち、職員が40代の男性入所者の顔を殴った暴行事案は障害者虐待防止法に基づき関係自治体から虐待と認定され、残りの事案も関係自治体に虐待通報した。調査委は「人権意識の大きな欠如が生じている」と非難した。

 調査委がまとめた報告書によると、虐待が疑われる25件は▽職員が40代の男性入所者の顔を平手打ちし、拳で額をたたいた▽居室の天井が便まみれとなった環境で生活をさせた▽共有スペースで男性入所者を全裸にしてボディーチェックをした─など。ほかに不適切で見直すべき事案や別の調査ですでに通報・公表済みの虐待事案を加えると、2015年度から昨年度にかけて41件が問題のある事案とされた。

 41件に関わった職員は少なくとも76人、被害を受けた入所者は少なくとも28人になる。同園の入所者は約90人、職員数は約160人。県は今後、関わった職員への処分を検討する。

© 株式会社神奈川新聞社