市長失職に伴う東京・あきる野市長選 前市議会議長の中嶋氏が初当選

前市長の失職に伴う東京・あきる野市長選挙が9月4日に行われ、新人の中嶋博幸さん(55)が初当選を果たしました。

今回の市長選の発端は、新たな介護老人福祉施設の建設を巡る市長と議会の対立で、大きな争点は議会で2度にわたって不信任決議案が可決され失職した前市長の市政運営に対する是非でした。選挙には4人が立候補し、投開票された結果、中嶋さんが1万8600票を獲得して初当選しました。当選した中嶋さんは「ここがスタートだと思う。混乱した市政を一日も早く立て直して前に進む政治をつくっていきたい」と語りました。また中嶋さんは市議会との対立の発端となった新たな介護福祉施設の建設について「きちんと精査しないといけないので白紙にするつもり」と話しています。

一方、今回の市長選に立候補して敗れた前市長の村木英幸さんは、結果を受け「議会対応がうまくできなかったということ。(落選は)それが大きな原因だと思う。私自身の不徳」と話しました。

■あきる野市長選挙 結果(選管確定,敬称略)
中島博幸(55,無・新=推薦:自・公)18600(当選)
村木英幸(65,無・前)4677
数野一(74,共・新)2450
木下優(73,無・新)1562

<前議長が当選 異例の経緯を振り返る>

市長の失職による東京・あきる野市長選挙は、前議長の中嶋博幸さんが前市長の村木英幸さんらを抑えて初当選しました。異例の経緯をたどったこれまでをまとめました。

事の発端は、村木市長と議会の対立でした。村木市長はあきる野市内にある市の土地に介護老人福祉施設を建設する計画を進めていました。計画は、東京都からの支援を受けることで"市の負担なしで建設できる”というものでした。しかし専門家からは「人材育成が先」という指摘もあり、議会側は市長の前のめりな姿勢を止めようと「建設用地の売却には議会での議決を必要」とする条例を定めました。しかし6月の議会で市長は「建設計画は既に承認されている」として、議会を経ずに建設を進める方針を示しました。このため、議会側は「条例違反であり、議会軽視」だと猛反発し、市長に対する不信任案を可決しました。

自身の辞職か議会の解散か迫られた村木市長は、議会を解散します。そして、市議会議員選挙の結果、不信任決議案に賛成した議員が多数当選し、議会で再び不信任案が可決されたため、市長は自動失職となりました。

そして今回の市長選挙の結果、再び出馬した村木前市長らが敗れ、前議長の中島さんが初当選を果たしました。

今回、中嶋さんが圧勝した点について、中嶋新市長は「丁寧な説明が通じた」と分析しています。また、村木前市長が進めていた福祉施設については「精査が必要なので、一度白紙に戻す」としています。ただ「介護人材が不足しているという話は聞いているので、人材育成は進めていきたい」と話しています。中嶋新市長は9月6日に初登庁し、公務をスタートさせます。

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