「絵に描いた餅」「無謀」…アリーナ構想に厳しい指摘相次ぐ 具体性欠く計画や波及効果に疑問、福井県福井市議会一般質問

県都にぎわい創生協議会で基本構想案が合意されたアリーナの整備用地となっている福井県福井市東公園=福井市豊島2丁目

 福井県福井市と福井県、福井商工会議所による「県都にぎわい創生協議会」の8月会合で合意されたJR福井駅周辺のアリーナ整備構想について、9月5日の福井市会一般質問で4議員が質問。具体的な実施主体や収支計画が示されていないこともあり「誰が責任を負うのか」「無謀な状況」などと厳しい指摘が相次いだ。市側の答弁も「しっかりとしたスキームを示してもらうよう求めていく」と従来の枠を出ず議論は深まらなかった。

 3者が合意したアリーナの整備・運営基本構想案では、東公園のうち荒川沿いの東側最大1万2千平方メートルに5千席程度のメイン施設などを整備。民設民営の枠組みとした一方で、整備費や具体的な実施主体などの明示は先送りされた。

⇒アリーナ整備構想とは

 トップバッターで質問に立った皆川信正議員(一真会)は「実施主体も収支計画も見通せない『えたいの知れないもの』に対して、県も市も前向きな姿勢を続けている。責任者はいったい誰になるのか」と疑問を呈した。下畑健二議員(公明)は「整備費など現時点での概算は示されるべきだ。運営主体もはっきりしないままでは、市の用地無償貸与の判断もできず前に進まない」と指摘した。

 市が無償貸与検討のよりどころとした年間来場54万人、経済効果54億円とする波及効果については、歓迎どころか算出根拠に疑問の声が続出した。野嶋祐記議員(新政会)は「Bリーグ利用で想定している1日4千人はトップリーグでも苦労している数字。来場見込みには疑問を感じる」と述べ、皆川議員は「波及効果は数字を並べただけという印象だ。絵に描いた餅ではないという根拠はあるのか」と追及した。

 東村新一市長は「福井商工会議所の八木誠一郎会頭は『経済界がしっかりと主導していく』としている。市にとっても経済効果や雇用創出など恩恵も多い」と述べるにとどまった。用地の無償貸与は地元理解を前提に進めたいとしたが「これ以上の具体的な支援は整備スキームの内容を精査し、検討することになる」とした。

 水島秀晃議員(一真会)は「アリーナに一部文化芸術機能を持たせることを含め検討するべきではないか」と、同じ東公園を候補地としコンサート利用など一部用途が重複する新文化会館整備計画を念頭に質問。東村市長は「アリーナやフェニックス・プラザなどとのすみ分けのためにも、(新文化会館は)機能や規模について再度検討が必要」との認識を示し「(再検討時期は)アリーナの進捗やその時の社会情勢を勘案し判断する」とした。

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