【おもしろ小箱】 No.233「収蔵資料紹介『携帯型写真電送装置』」

▲携帯型写真電送装置

 先日、横浜市在住の方から当館収蔵の機械について問い合わせがありました。この機械は、1963年に製作された東方電気(株)(当時)製作の携帯型写真電送装置で、現在のファクシミリです。問い合わせの内容は、ご連絡いただいた方のお父様がこの機械の製作に携わっておられたそうで、製作会社やこの機械について調べている、とのことでした。

 さて、ファクシミリの原型は、1843年にスコットランドの発明家、アレクサンダー・ベインによって発明されました。電話の発明が1876年ですから、電話の発展形と思われがちなファクシミリが電話の誕生より早いのは意外です。

 この当館所蔵の機械は、信号増幅などで使用していた真空管をトランジスタに代えることで小型化に成功したポータブルFAXで、取材写真を現場から会社に送ることができるようになるなど、情報伝達のスピードアップに貢献しました。

山口県立山口博物館 理工担当学芸員 漁 剛志

© 株式会社サンデー山口