稲佐山で凱旋ライブ 長崎市出身シンガー・ソングライター松尾貴臣さん 12年越しの約束果たす

12年前に誓った約束のステージに立ち、歌声を響かせる松尾さん=長崎市、稲佐山公園野外ステージ

 長崎市出身のシンガー・ソングライター、松尾貴臣さん=千葉市在住=が3日、同市の稲佐山公園野外ステージで単独ライブを行った。「僕の古里、長崎で会いましょう」と2010年4月にチケットを売り始めてから12年。ファンと交わした約束を果たした。
 松尾さんは県立長崎北高時代に歌手への夢を抱き、千葉大、同大大学院時代のライブ活動を経て、卒業後は全国の高齢者福祉施設などを巡るホスピタルライブを展開。20年の稲佐山ライブを目標に掲げ、出会った人たちに1枚千円のチケットを売り続けた。新型コロナ禍で2年延びたがようやく念願がかなった。
 「みなさんのおかげで今日、あこがれの地に立つことができた」。ステージで感謝の気持ちを熱く語った松尾さんは、平和や愛などをテーマにしたオリジナルソングを次々披露。感極まって歌声が震える場面もあった。コロナ禍で来場できなかったファンのため会場の様子はライブ配信した。
 県内ほか全国各地からファンが駆け付け、温かい声援や手拍子を送った。今年神奈川県からUターンした長崎市滑石2丁目の岸川寛さん(66)は、12年前、東京であった長崎北高の同窓会でチケットを購入。「大事に持っていて良かった。病院に歌声を届けている松尾さんの優しい声と人柄が伝わった」と話した。
 最後に松尾さんは、次の目標として8年後の30年4月に再び「稲佐山凱旋(がいせん)ライブ」を行うと表明した。


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