NHK総合・BS4Kでは2023年に、正月時代劇「いちげき」（日時未定）の放送が決定。宮藤官九郎が脚本を手掛け、染谷将太、町田啓太、松田龍平が共演。神田伯山が語りを務める。
本作は、永井義男氏の小説「幕末一撃必殺隊」を原案にした、松本次郎氏のコミック「いちげき」が原作。目まぐるしく変化する現代を、幕末という激動の時代に投影。幕末の混乱期を背景に、歴史に名を残した偉人たちの物語ではなく、庶民を主人公とした物語を描いた痛快エンターテインメント時代劇だ。幕末期、江戸を騒がせていた勤皇浪士を自称する者や薩摩藩士による御用盗に対応するため、農民を集めて結成された特殊戦闘部隊・一撃必殺隊の活躍を描く。
舞台は、大政奉還直後の江戸。徳川滅亡を図り江戸城下でろうぜきの限りを尽くす薩摩藩士に対し、大規模な戦争を避けたい勝海舟は会津藩の武士でも庄内藩の武士でもなく「村の力自慢」や「大男」、「村一番の速足」や「機転の利く小男」などバラエティーに富んだ農民たちを寄せ集め、私設部隊を秘密裏に立ち上げる。
多額の報奨金を目当てに集まった丑五郎（染谷）や市造（町田）ら農民たちは、初めて握る刀に動揺しながらも、元新選組隊士の島田幸之介（松田）に特別な訓練を受け、日に日に成長。そして初陣。雄たけびとともに威勢よく出陣した彼らには、一撃必殺隊という名が付けられる。
染谷は「激動の幕末時代、人知れず命を懸けて戦った者たちの話。こんなに燃える話、ほかにありますでしょうか？ 宮藤官九郎さんが書く、このなんとも愛らしい登場人物たちと過ごす日々が楽しみでなりません」と声を弾ませ、「パッションとエネルギーあふれる松田（礼人）監督と共に一撃隊を全うした後、見られる景色は一体どんな景色なのか？ 誰が見ても楽しめる痛快で爽快な時代活劇、2023年が爽快な年になるように、丹精を込めて現場に挑みたいと思っております」と意気込む。
宮藤は「初めての時代劇です。まあ『いだてん』も僕にとっては時代劇でしたが『いちげき』は紛れもなく本格時代劇。日本史にうとい僕でも、素晴らしい原作と詳細な資料があれば書けるものです。薩摩が倒幕をもくろみ組織したゲリラ集団・御用盗と、それを駆逐するために旧幕府が組織した農民の集団・一撃必殺隊。『七人の侍』と『アベンジャーズ』と『池袋ウエストゲートパーク』を掛け合わせたような感じ？ 言い過ぎか？」と名作を引き合いに出し、作品の魅力をアピール。
そして、「原作はややシリアスだけど、講談の語りが入ると爽快な青春活劇に仕上がるんじゃないかと、脚本も書いてないのに神田伯山先生にオファーしましたところご快諾いただきました。ラジオの友は真の友です。一撃隊のウシ役に染谷将太くん、イチ役に町田啓太くん、指揮を取る幕臣島田に松田龍平くん。自分にとって初めてづくしのこの作品に、にぎやかな顔ぶれが集結してくださいました。お正月早々、ちょっと暑苦しいかもしれませんが、楽しんでいただけたらうれしいです」とメッセージを寄せている。
演出の松田氏は「この作品は、変動する『今』を幕末に投影、歴史に名を残した『偉人たち（侍）』ではなく、『民衆たち（農民）』を主人公に、『今』を生きる私たちに響く痛快！エンターテインメント青春活劇です。『村相撲の横綱』や『けんか自慢』、寄せ集めの農民たちが、薩摩勤皇志士を相手に大暴れ。身分の差にしいたげられながらも、必死に、そしていきいきと生きる農民たちの姿。おせちをつまみに、ご家族みんなでお楽しみください」と作品について解説している。
