9月4日、静岡県の総合防災訓練が3年ぶりに行われました。各地で新型コロナを意識した取り組みが実践されましたが、コロナ禍の訓練の難しさも浮かび上がりました。
<中井秀カメラマン>
「いま航空機から支援物資が投下されました」
静岡県総合防災訓練は南海トラフ巨大地震が発生し、静岡県内の広い範囲で震度7を観測し、大津波が襲来した想定で行われました。
3年ぶりとなった大規模訓練のテーマは「コロナ禍の防災」です。
<篠原大和記者>
「避難所の入り口では検温や体調確認を行います。熱のあった人や体調不良の人は専用のスペースに移動してもらう想定です」
中学校で行われた避難所運営訓練では、住民自らダンボールベッドとパーテーションで生活空間を仕切りました。
<牧之原市 避難所対策班 西原直樹さん>
「(段ボールベッドは)コロナ禍以前には僅かしかなかったが多くの数を購入しました」
県の防災アプリを活用した訓練も実施。アプリからQRコードを読み取ることで、事前に入力した名前や住所、体調などを非接触で登録でき、スムーズな避難所運営に役立てられます。
<体験した人は>
「こんなに豊富な機能があると知らなかったので」
「みんなで登録しないと良さがその場になって発揮されないと思う」
<訓練のやりとり>
「足が痛ーい!」
「お名前言えますか?」
手当ての緊急度によって優先順位をつけるトリアージの訓練では、本番さながらに患者役は地域住民に依頼する予定でしたが、感染のリスクを考え、看護学校の学生を患者に見立てました。
今回の訓練への参加者は県内全域でおよそ40万人。コロナ以前の2019年の参加者およそ85万人に対して、半分以下の参加に留まりました。今回は学校や病院などの参加が見送られるケースが目立ち、自治体によっては住民の参加自体がないところも。それでも、実践から見えてくることがあります。
Q 入れないですか?
「そうですね…」
「あと3人は来ます」
「あと3人は来るのね」
トリアージの訓練を行っていた病院では、参加人数を減らしても重症者の処置室はいっぱいになりました。
<島田市立総合医療センター 増田智 病院総務課長>
「どうやって感染防止に努めながら1人でも多くの患者さんを診ることができるかが課題」
新型コロナが訓練の開催そのものに影響を与える中、今回、見つかった課題をいかに修正していくか。工夫が求められています。