NHK杯・放送コンテスト、松山高がV 深谷第一高は準V 1、2位の埼玉独占は初 両校顧問は師弟の間柄

優勝した松山高校映像制作部3年生と嶌田矩晃教諭(後列右)=東松山市の県立松山高校

 「第69回NHK杯全国高校放送コンテスト」(全国放送教育研究会連盟、NHK主催)創作テレビドラマ部門で松山高校(埼玉県東松山市)映像制作部が優勝、深谷第一高校(深谷市)放送部が準優勝に輝いた。同部門には各都道府県2作品がエントリーでき、県勢で1位と2位を独占したのも初めて。両部顧問も師弟という間柄で快挙を喜んでいる。

 松山高の顧問は嶌田矩晃教諭(36)。深谷第一高の顧問は宮川辰也教諭(58)で、前任校が松山高だった。映像制作部は2001年創部で、宮川教諭は立ち上げにも携わっている。嶌田教諭は松山高の卒業生で創部の年に入学、部員で宮川教諭から教わり、当時の部員も同コンテストの決勝進出を目指していたという。今回の受賞で夢が果たせたという宮川教諭は「幸せな瞬間だった」と振り返る。嶌田教諭も「宮川先生ははるか上の存在。制作の原点は宮川先生の指導にある」と恩師をたたえる。

 同部門には337作品が参加し、全国大会に92作品が進んだ。上映時間は8分。松山高が優勝したのは10年度に続いて2回目になる。今回の作品名は「聞いて。」。個性や性格で苦しんでいる男子生徒が日常生活の中から解決策を探し出していくという物語。3年生4人で仕上げ、せりふは少ないが、音楽で表現している。部長の上村将大さんは「撮影の段階で勝負は始まる。カメラワーク一つで表現も代わってくる」。嶌田教諭も「伝統の映像で見せられる部分を突き詰めたのが今回の作品になった」と説明。

 深谷第一高は昨年、同部門の優勝校。今回の作品名は「ニンゲンって」。高校生で人工知能(AI)の姉弟と人間の視点からストーリーを描き、AIの視点で人間のすごさや素晴らしさを実感してもらえるような内容にしたという。4月15日に入部した1年生11人で制作。同校では入部したての1年生が同コンテストの作品を作るのが伝統になっている。

 両校は先輩らが残した作品やコンテストで入賞した他校の作品を見ながら撮影や音響、編集などの技術を磨く。コロナ禍前までは県内のほかの高校放送部と合同合宿をして作品作りの研修もしてきた。松山高の優勝作品を観賞した宮川教諭は「オリジナリティーがあって考えさせられる作品。映像も美しく、編集技術も素晴らしい。映画のような動かし方をしていた」と評価し、教え子(嶌田教諭)の指導も褒めている。

 両校の作品は関連サイト「NコンWEB」で見られる。

準優勝の深谷第一高校放送部=深谷市の県立深谷第一高校

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