【Apa Itu?】続きはどうなった?「Jの悲劇〜警察の闇」

インドネシア国民を釘付けにしてきた”ドラマ”「Jの悲劇」。「あれから一体どうなった?」と気になっている「視聴者」の皆様のために、前回お送りした話(第1話から第4話まで)の続きをお送りします。第5話からです!

これまでのストーリー
2022年7月8日午後5時ごろ、南ジャカルタ・ドゥレンティガにあるフェルディ・サンボ警察職務治安局長の公邸で、サンボの部下であるヨシュア・フタバラット(J先行曹長)が殺害された。当初は「サンボの妻を乱暴しようとして、それを見とがめたE二等巡査との間で銃撃戦になり、殺された」と説明された。しかし、なんと、サンボ本人の筋書きによる計画的な殺人だった!(詳しくは「Jの悲劇〜警察の闇」をご覧ください)

ヨシュアを銃撃するE二等巡査(警察の再現アニメより)### 主な登場人物

「J先任曹長」ヨシュア・フタバラット(Brigadir J、Nofriansyah Yosua Hutabarat)
「Jの悲劇」主人公、サンボの部下。YosuaとJosuaの表記が混在しており、イニシャルで報じられる時は「Brigadir J(J先任曹長)」とされることが多い。サンボ公邸で殺害された。27歳。

フェルディ・サンボ(Irjen Ferdy Sambo、FS)
ヨシュアの上官で、事件の黒幕。警察内部で麻薬や賭博の利権を持つとされる。警察の職務治安局長という要職にあったが、事件後に懲戒解雇。南スラウェシ出身。49歳。

プトリ・チャンドラワティ(Putri Candrawathi)
サンボの妻。

「E二等巡査」リチャード・エリエゼール(Bharada E、Richard Eliezer)
殺害実行犯の疑い。「Bharada E(E二等巡査)」の名で報じられることが多い。司法協力者になっている。

「RR」リッキー・リザル(Ricky Rizal)
曹長。殺害幇助の疑い。

クアット・マルフ(Kuat Ma’ruf)
事件の容疑者となった唯一の民間人。サンボの運転手。殺害幇助の疑い。プトリとの仲も噂される。

シギット・プラボウォ(Sigit Prabowo)
警察長官。「事件の隠蔽はしない」と宣言して捜査を推し進めると同時に、警察内部でのサンボ一派の一掃を図る。

第5話 黒いカネと警察内部の帝国

主犯、実行犯、現場にいた人、隠蔽に加担した人。事件の概略が浮かび上がって来る中で、カネがにわかに注目を集め始めた。

ヨシュアの遺族の弁護人は「ヨシュアの死後、ヨシュアの4つの口座から2億ルピアが犯人の口座に振り込まれた。もう当人は亡くなっているというのに、どうして銀行振込ができるのか?」と疑念を呈し、不当な横領・着服であるとして警察に訴えを出した。2億ルピアは、殺害実行犯であるE二等巡査の口座に振り込まれたとされているが、E二等巡査側は否定している。警察の調べの中で、ヨシュア殺害の報奨金としてサンボから、E二等巡査には10億ルピア、RRとクアットの2人には各5億ルピアの支払いが約束された、との話も出ている。

また、事件の調査に当たっていた「証人・被害者保護機関」(LPSK)に対し、サンボ側が、調査に手心を加えるための賄賂とみられる「分厚い封筒」を渡そうとしたことも明るみに出た。LPSK側は「『Bapak(サンボ)からの預かり物です』と言って渡されたので見たら、分厚い茶色の封筒2つが入っていた。調査に関係する資料ではないと判断し、封筒の中味は見ずに受け取りを拒否した」と明らかにした。

サンボの給与は諸手当と合わせても月3100万〜3700万ルピア程度とみられている。別邸や高級車、妻は多数のブランドバッグを所有するサンボのカネの出所は一体どこなのか。

拡散されたのが、「サンボ帝王と303コンソーシアム」と名付けられた、サンボを頂点とする「帝国」の組織図だ。これによると、サンボとその取り巻きたちはオンライン賭博により、年間1兆3000億ルピアを超える「上がり」を受け取っていたという。オンライン賭博は「303」の暗号で運営されており、組織図の中には、「この303コンソーシアムが続行できるように、2024年にはサンボを警察長官にする」という「2024年プロジェクト」まで書き込まれている。

サンボ帝国に属する警察高官らの実名、携帯電話番号、カネの流れまでもが詳細に書かれた組織図は真偽不明ながら、大きなインパクトを与えた。シギット警察長官は賭博の徹底取り締まりを指示し、「賭博に関わった警官は、どんな役職であろうとクビにする」と宣告した。その後にわかに、警察による賭博取り締まりが活発化した。オンライン賭博での大量逮捕のほかにも、闘鶏から主婦のオフライン賭博に至るまで、続々と検挙が続いた。

一方、サンボは、ヨシュア事件において証拠隠滅を図るなどの「倫理規定に違反した疑い」で警察倫理委員会で調べを受けた結果、「懲戒解雇」が言い渡された(即、抗告)。(追記:抗告は退けられ、懲戒解雇の処分が決まった)

第6話 被害者から加害者に転落、Sの妻の運命は?! 真の動機は??

サンボの身柄が拘束されるまで、公には姿を見せなかったサンボの妻プトリ。当初は「ヨシュアに乱暴された」という夫の筋書きに合わせる役割を演じただけで、やむなく事件に巻き込まれた、との見方もあった。しかし実は、プトリも事前に殺害計画を知っていたことが明らかになり、「被害者」から「容疑者」へと、立場は180°逆転した。収監はされていないものの(後に、収監)、「容疑者」すなわち「クロ」とほぼ断定されている。有罪となった場合には、サンボ同様、最高刑は死刑となる。

捜査が大詰めに向かう中で、サンボ側は「プトリに対するヨシュアの乱暴が殺害の理由」との説を崩していない。この主張を続けているのが、サンボ、プトリ、運転手のクアットだ。そして 国家人権委員会も調査の結果、「性的暴行の疑い」があったと結論付けている。懸念されるのは、「死人に口なし」状態で、このまま話が進んで行くことだ。サンボも「妻への乱暴」が殺害理由だとすれば、ある程度の体面は保たれるだろう。しかし、この汚名こそが、当初からヨシュアの遺族を怒らせていた点でもある。

男女関係説で言うと、プトリの不倫(ヨシュアまたはクアットと)、サンボの愛人絡み、サンボがバイセクシュアル、との説まで出ている。しかし、それが殺害の動機に至るかというと、疑問だ。サンボはE二等巡査にヨシュアを撃たせただけでなく、自分でも撃っているとみられ、よほどの強い恨みがあると考えられる。やはり、真の動機は、表には出せない警察の闇ビジネス絡みではないか、との見方も依然として強い。

ヨシュア殺害中、公邸の部屋で待機していたプトリ(警察の再現アニメより)### 第7話 事件はこうして起こった! 殺人をアニメで再現

世間の注目の中、捜査はクライマックスを迎えた。8月30日、警察による「事件の再現」が行われたのだ。これは、容疑者自身も参加して、現場で「どのように犯行が行われたか」という再現をするというもの。被害者らさまざまな役を演じる警官、記録係、容疑者の弁護人や国家人権委委員らで現場はごった返す。機動隊による厳重な警戒の中、オレンジ色の「拘留者」服で手錠を着けたサンボらが姿を見せた。まだ取り調べの完了していないプトリは、無罪を主張するかのような白い服。

プトリに対するヨシュアの暴行があったとされる中部ジャワ・マグランの私邸を模した場所、ジャカルタの私邸と公邸で、「再現」が行われた。その中で大きく証言が食い違ったのは、「誰がヨシュアを銃撃したか」という点だ。E二等巡査は「自分以外にサンボも撃った」と主張し、サンボは「壁に向けて撃っただけで、ヨシュアには発砲していない」と主張した。

「事件再現」の様子はライブストリーミングされ、チャット欄にはものすごい勢いで視聴者のコメントが書き込まれた。「#警察は信じない(ハッシュタグ付き)」「サンボは死刑に値する」「銃殺刑だ」といった辛辣なコメントも並んだ。「このシネトロン(テレビドラマ=安っぽいドラマのこと)には、もううんざり」「チピナン・ファッションショーだ(チピナンは刑務所。若者のアイデンティティー発信の場「チタヤム・ファッションウイーク」に掛けた言葉)」というコメントもあった。

警察が発表した、「ヨシュア銃撃事件」の再現アニメはこちら。

【アニメに出て来る略語】
FS=サンボ
PC=プトリ(サンボの妻)
Y=ヨシュア(被害者)
RE=リチャード・エリエゼール(E二等巡査)
RR=リッキー・リザル曹長
KM=クアット・マルフ(運転手)
Yogi=ヨギ(サンボの運転手)
AR=ロメル先行曹長(サンボの副官)

Saguling=ジャカルタ・サグリンにあるサンボ私邸
D Tiga=ジャカルタ・ドゥレンティガにあるサンボ公邸

【出来事】
午後5時6分
ヨシュアやプトリら5人は、RRの運転する車でサンボ私邸から公邸へと向かった。ヨシュアは助手席に座り、プトリは前列、そして後列にクアットとE二等巡査の2人。公邸に着いた後、プトリは部屋へ入り、E二等巡査とクアットは2階へと上がった。RRは外のガレージ付近にいた。ヨシュアは中庭へと向かい、そこで電話をしていた。

午後5時9分
サンボの車が公邸に到着した。ヨギが運転し、ロメル先行曹長が助手席、そして前列にサンボが座る。ロメル先行曹長が家の前で先に降りてから、車は家を少し通り過ぎた所で停まった。サンボは車から降り、家へ向かう途中でピストルを落とした。ロメル先行曹長が駆け寄って拾おうとしたが、サンボは制止し、自分で拾ってズボンの右ポケットに入れた。家に入る時には黒い手袋をはめていた。

午後5時10分
家の中に入ったサンボは、2階にいたE二等巡査とクアットに、1階へ降りて来るように言った。さらにクアットに、ヨシュアを呼んで、外にいるRRと共に家に入らせるようにと言った。

午後5時12分
サンボ、ヨシュア、E二等巡査、RR、クアットが家のダイニングの辺りに集合した。サンボはヨシュアに「てめえ、なめたまねしやがって。ふざけんなよ」と言い、E二等巡査に「撃て、早く、早く撃て、撃たんか」と命じた。E二等巡査はヨシュアに3、4発、発砲し、ヨシュアは床に倒れた。サンボは、倒れたヨシュアに向けて発砲し、さらに、銃撃戦があったと見せかけるために、階段付近の壁や棚に向けて発砲した。その後で、サンボは部屋で待機していたプトリを迎えに行き、一緒に家を出た。プトリはRRの運転する車で私邸へ帰った。

つ・づ・く

参照

https://nasional.tempo.co/read/1625357/putri-candrawathi-mengubah-keterangan-3-kali-ke-penyidik?utm_source=Twitter&utm_medium=Audev&utm_campaign=Nasional_Syahdi

https://kumparan.com/kumparannews/komnas-ham-kuat-maruf-yang-ancam-bunuh-brigadir-yosua-1yi6efiUfQH/full?utm_medium=post&utm_source=Twitter&utm_campaign=int

https://news.detik.com/berita/d-6247587/yoshua-dapat-ancaman-h-1-pembunuhan-dilarang-temui-istri-sambo?utm_content=detikcom&utm_term=echobox&utm_medium=oa&utm_campaign=detikcomsocmed&utm_source=Twitter#Echobox=1661156488

https://video.tempo.co/read/30370/serahkan-hasil-autopsi-ulang-brigadir-j-tim-forensik-hanya-ada-luka-tembak?utm_source=Twitter&utm_medium=Audev&utm_campaign=Video_Syahdi

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