Wシリーズ2冠のチャドウィック、アンドレッティ・オートスポートからインディ・ライツのテストに参加へ

 北米シングルシーターのステップアップ・ラダーとして機能するインディ・ライツに参戦し、ここまでシリーズ3連覇を記録しているアンドレッティ・オートスポートは、9月後半にアメリカ・フロリダ州で実施するテストにジェイミー・チャドウィックを招待する意向を明らかにした。

 2022年も女性限定シングルシーター選手権のWシリーズに参戦し、現在もチャンピオンシップを率いる“2連覇女王”は、2019年の創設初年度以降、開催されたイベントの実に55%以上を制覇してきた実績と勢いを提げ、インディ・ライツ用のワンメイクフォーミュラ『ダラーラIL-15』をドライブする。

 ジュニア・オープンホイールでトップの女性ドライバーとして認知されているイングランド出身のチャドウィックは、2018年に地元イギリスF3選手権で史上初の女性ウイナーの称号を得ると、Wシリーズでは過去3年間でハイテック・グランプリ、ヴェローチェ・レーシング、そしてジェンナー・レーシングとチームを渡り歩きながらも、開催19戦で通算10勝を挙げる大活躍を演じ、不動のチャンピオンとして君臨するに至った。

 その実績を買われ、2020年からウイリアムズF1の開発ドライバーとしての役割を任せられ、2021年からはオフロードの電動ワンメイク・シリーズ『エクストリームE』にも進出。年を追うごとに活動の場を広げると同時に、将来的なステップアップ先としてF1やインディ挑戦への意欲も語ってきた。

2022年もWシリーズ開幕から4連勝を飾り、王座防衛3連覇に向け視界良好のジェイミー・チャドウィック
Wシリーズでは過去3年間でハイテック・グランプリ、ヴェローチェ・レーシング、そしてジェンナー・レーシングとチームを渡り歩いてきた
結果的にパートタイムでの参戦となりながらも、オフロードの電動ワンメイク・シリーズ『エクストリームE』にも初年度から参戦する

■チャドウィックは「来年のインディ・ライツ候補者のひとり」とアンドレッティCOO

「彼女は9月21日にセブリングでテストを行うことになるだろうね」と、北米のモータースポーツ専門サイト『RACER.com』に語ったのは、アンドレッティ・オートスポートのCOOを務めるロブ・エドワード。

「我々も彼女にチャンスを与えることに興奮している。彼女は明らかにWシリーズの支配的なドライバーだからね。我々の見立てでは、その戦績こそが彼女のキャリアを次のステップに変換する、今回のチャンスに値するものだと感じている」

 現在24歳のチャドウィックにとって、アンドレッティのためにテストし、来季以降のレースシートを獲得できた場合、ここ近年でコルトン・ハータ、パト・オワード、カイル・カークウッドらを輩出したインディ・ライツのプログラムが、彼女のキャリアに大きな変革をもたらす可能性がある。

「もちろんイエスだ。彼女こそ来年のインディ・ライツでレースシートに座る候補者のひとりだからね」と続けたエドワード。

 そのチャドウィックがドライブするダラーラIL-15は、2015年からシリーズに導入された最新世代のワンメイク・シャシーとなり、心臓部には2リッター直列4気筒ターボのAER-マツダ製のユニットを搭載。450PSの最高出力に加え、プッシュ・トゥ・パスの使用時には50PSのエクストラパワーが上乗せされる。

 タトゥース製のFIA F3規格に準拠した車体に約270PSのエンジンを載せる現在のWシリーズ車両と比較すると、彼女自身にとっても着実なステップアップとなりそうだ。

2020年からは、ウイリアムズF1の開発ドライバーとしての役割も担う
450PSの2リッター直列4気筒ターボのAER-マツダ製のユニットを搭載するダラーラIL-15
コルトン・ハータ、パト・オワード、カイル・カークウッドらを輩出したインディ・ライツのプログラムが、彼女のキャリアに大きな変革をもたらすか

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