連載[中原八一新潟市長の通信簿・全市議アンケート]<総合>主要施策、半数以上が「評価」 中原氏支持大半の議会構成を反映

会見を開き、新潟市長選への再選出馬を表明する中原八一氏=6月、新潟市中央区

 任期満了に伴う新潟市長選が10月9日告示、同23日投開票の日程で行われる。9月7日時点で、2期目の再選を目指す中原八一市長(63)だけが名乗りを上げている。新潟日報社は、中原氏の市政運営について、全市議会議員(50人、欠員1)にアンケートを実施した。

 評価項目は「人口減少」、「行財政改革」、「バス交通」、「新型コロナウイルス対策」、「にいがた2km(にきろ)」の5点。加えて、市政運営全般に対する「総合」評価も聞いた。主要な施策に関する全議員の評価、理由を紹介する。

 市議会で中原氏の再選出馬を支持するのは、過半数を占める中原氏を支援する保守系会派「翔政会」の26人と市公明党の4人。こうした状況を背景に、全5項目で「評価」「どちらかと言えば評価」が全体の半数を上回った。ただ、人口減少対策などでは、不足点を挙げて「どちらかと言えば評価」の消極的回答も目立ち、プラス評価の中でも濃淡がある。

会見を開き、新潟市長選への再選出馬を表明する中原八一氏=6月、新潟市中央区

 「評価」が最も多かったのは2項目で、それぞれ23人だった。前市政で急減した基金残高への対応や事業見直しなどを踏まえた「行財政改革」と、ワクチン接種や経済対策といった「新型コロナウイルス対策」だ。「評価」と回答したのは、いずれも翔政会と市公明党の議員だった。

 両項目に共通するのは、中原氏が1期目の成果として数値を強調する点だ。

 行財政改革では基金残高が目標の80億円を上回る、107億円(2021年度末)を確保。新型ウイルス対策ではワクチン接種率が政令市トップになったとする。

 一方、「評価できない」「どちらかと言えば評価できない」のマイナス評価とした市長野党系の議員は、行財政改革では市民サービスの削減といった手法、新型ウイルス対策では中原氏の指導力や独自性の薄さを理由とした。ワクチン接種を巡る混乱への言及もあった。

 「人口減少対策」、街づくり施策の「にいがた2km(にきろ)」、「バス交通」の3項目は、プラス評価でも「どちらかと言えば」がより多かった。

 いずれも数値で示せる政策効果は見えづらい上、人口減少対策については「そもそも人口減が止まっていない」との指摘もある。中原氏を支援する会派でも積極評価が難しい実績となっている。

◆「総合」全市議アンケート結果

 中原八一市長の市政運営全般に関する「総合」評価の全議員の回答を所属する会派ごとに紹介する。

表の見方=【 】は所属会派名、回答者の氏名、評価した点数(100点満点)、理由 ※( )は期数=選出区(敬称略)

【翔政会】=中原氏を支援する保守系会派、26人
◇金子 益夫 80点 (5)=北区
「職員・市民の声をよく拾い、指揮を執っている」
◇佐藤 幸雄 80点 (9)=西区
「農業政策をもっと重要課題にする必要がある」
◇佐藤 豊美 80点 (8)=東区
「感染対応など初の事態がある中、職員も含め頑張った」
◇阿部 松雄 80点 (5)=秋葉区
「感染対応を最優先としつつ、市政課題に向き合った」
◇水澤 仁 80~90点 (4)=西蒲区
「感染禍で評価は難しいが、各施策をしっかりとやった」
◇栗原 学 81点 (5)=秋葉区
「総合的に判断」
◇古泉 幸一 100点 (4)=江南区
「議会、地域住民らの意見を取り入れて行政運営を進めた」
◇吉田 孝志 88点 (4)=中央区
「期待を込めた数字。将来に向け種まきをしてきた」
◇皆川 英二 90点 (3)=北区
「本来やりたいことができなかったという面で10点引いた」
◇佐藤 耕一 70点 (3)=中央区
「期待を込めた点数」
◇平松 洋一 90点 (3)=北区
「10点分は期待。『何か動き出した』と思える取り組みを」
◇小野 清一郎 80点 (3)=南区
「市長はもっと前面に出てアピールを」
◇佐藤 正人 90点 (2)=西区
「悪いところが見当たらない」
◇荒井 宏幸 70点 (2)=東区
「ワンマンではなく、職員のやる気を引き出している」
◇田村 要介 無回答 (2)=西区
「点数は市民が判断するものだが、合格点」
◇伊藤 健太郎 80点 (2)=中央区
「会派の要望の実現など及第点を超える」
◇美濃 欣之 110点 (2)=中央区
「税収向上が行政の大事な仕事で、しっかり行っている」
◇高橋 哲也 80点 (2)=南区
「点数はつけられないが、強いてつけるなら」
◇内山 航 80点 (2)=中央区
「2kmや財産経営などの決断をしたことを評価する」
◇土田 真清 90点 (1)=西蒲区
「感染対策と経済再興への施策を着実に実施した」
◇保苅 浩 80点 (1)=西区
「翔政会の意見を取り入れ、政策を打ち出してくれる」
◇豊島 真 80点 (1)=東区
「市民の利便性向上を進め、国との関係も修復した」
◇林 龍太郎 75点 (1)=秋葉区
「感染対策、BRTで批判を恐れず正面から向き合った」
◇小野 照子 90点 (1)=中央区
「足りない10点は、人の意見に耳を傾けすぎる面」
◇東村 里恵子 81点 (1)=秋葉区
「着実な市政運営に努めている」
◇小林 弘樹 80点 (1)=西蒲区
「感染対策などやるべき課題は着実にやった」

【共産党市議団】=共産党会派、5人
◇渡辺 有子 無回答 (6)=江南区
「点数で評価することはできない」
◇五十嵐 完二 15点 (3)=東区
「国、県のいいなりだから」
◇風間 ルミ子 無回答 (4)=北区
「市民が主人公という姿勢が感じられない」
◇飯塚 孝子 20点 (4)=東区
「命と暮らしに直結する福祉関連を削った」
◇倉茂 正樹 15点 (2)=秋葉区
「バスの部分で15点」

【民主にいがた】=立憲民主党会派、5人
◇加藤 大弥 50点 (4)=西区
「市職員の頑張りに50点」
◇宇野 耕哉 50点 (2)=江南区
「ウイルス禍を考慮し、判断できない部分も多い」
◇細野 弘康 50点 (2)=東区
「感染禍対応は理解するが、やりたいことが伝わらない」
◇小柳 聡 40点 (2)=北区
「意思、顔が見えない」
◇高橋 聡子 50点 (1)=中央区
「アンケートの結果による採点」

【新潟市公明党】=公明党会派、4人
◇佐藤 誠 80点 (4)=東区
「大きな失点はないが、もっと人口減少対策を」
◇小山 進 70点 (4)=中央区
「30点は人口減少という大きな課題があるため」
◇松下 和子 75点 (2)=中央区
「失点はないが、前任者と比べ、カラーが見えない」
◇志賀 泰雄 75点 (2)=西区
「福祉、子育てなど分配施策の重要性を認識している」

【新市民クラブ】=保守系会派、4人
◇志田 常佳 70点 (7)=東区
「感染禍で何もできていない点も含めた点数」
◇高橋 三義 50点 (6)=西区
「何もしていないと感じる」
◇串田 修平 70点 (4)=江南区
「カラーは出ていないが、そつなくやっている」
◇内山 幸紀 50点 (1)=南区
「評価はこれからという意味の50点」

【市民ネットにいがた】=社民党系会派、3人
◇青木 学 55点 (7)=中央区
「公約の柱の人口減少対策で成果を出していない」
◇竹内 功 55点 (3)=西蒲区
「市民所得向上と人口減少で成果が出ていない」
◇石附 幸子 55点 (2)=西区
「市長としてのビジョンがよく分からない」

【無所属】3人
◇小泉 仲之 60点 (2)=東区
「失敗もなければ、成功もない」
◇中山 均 56点 (4)=西区
「答弁を幹部に委ねるなど自らの言葉での発信が不十分」
◇深谷 成信 60点 (3)=中央区
「100点は付けられないが、合格点ではある」

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