買収を加速する「小僧寿し」Taco Bell効果は?

東京都千代田区の店舗

持ち帰りずしチェーンを運営する小僧寿し<9973>が企業買収のアクセルを踏み込んでいる。同社は2022年10月3日にJFLAホールディングス<3069>の傘下企業からメキシカン・ファストフード「Taco Bell(タコベル)」事業を譲り受ける。

これに先立つ7月には、JFLAホールディングス傘下で飲食店経営のアスラポート(東京都中央区、売上高23億円、営業損益1億900万円の赤字)を子会社化。さらに前年の2021年には4件(このうちの1件は2022年に売却)の企業買収を実施し、積極的なM&Aで新たな収益の柱となる事業を創出するとしていた。Taco Bellは狙い通り新たな収益の柱となるだろうか。

Taco Bell、2023年12月に黒字化

Taco Bell事業の2022年3月期の売上高は7億2000万円、営業損益は2億2300万円の赤字だった。小僧寿しでは、Taco Bellの店舗に小僧寿しのデリバリー機能を加えるとともに、管理本部機能を活用することで管理コストを圧縮し、2023年12月期以降に黒字化を見込む。

期の途中でのグループ入りであり、2022年12月期の業績にかかわるのは3カ月分だけのため、影響は軽微としており、同期の業績予想には、Taco Bellの影響を織り込んでいない。

その2022年12月期は売上高126億円(前年度比57.2%増)、営業利益1億2000万円(前年度は3800万円の赤字)、経常利益1億2000万円(同8700万円の赤字)、当期利益6000万円(同6億1900万円の赤字)の見込みだ。

小僧寿しは2020年12月期に、2009年12月期以来11年ぶりに営業、経常、当期の全段階で黒字化したものの、2021年12月期は再び赤字に転落していた。

2022年12月期は前年にスーパーマーケット「だいまるストアー」を展開する、だいまる(宇都宮市)、飲食チェーン「とり鉄」「とりでん」を運営するTlanseair(東京都中央区)、食肉関連事業を展開するミートクレスト(2022年に売却)、障がい者福祉関連事業を展開するアニスピホールディングス(東京都千代田区)をそれぞれ子会社化しており、これら企業の業績が加わることから、大幅な増収と黒字への転換を予想している。

小僧寿しは持ち帰りずしのほか、フードデリバリー「デリズ」、鳥料理「とり鉄」「とりでん」「ぢどり亭」、ラーメン「どさん子」、とんかつ「キムカツ」などを全国で611店舗運営している。

ここにTaco Bellのグループ化によって、ファストフードのブランドが加わることになるわけで、今後日本国内での出店を進めていくという。新たな収益の柱として業績に寄与するのは、そう先ではなさそうだ。

【小僧寿しの業績推移】単位:億円、2022年12月期は予想

文:M&A Online編集部

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