「完璧主義、手を抜くことが嫌い」。チーム大分ジュニアアスリート発掘事業の2期生としてアーチェリーを始めた大分東明の高尾太輝(3年)は、高校最後の大会となる栃木国体に向けて、自己ベスト626点の更新に照準を合わせている。
チーム大分ジュニアアスリート発掘事業でボートやカヌー、ライフルなどの競技を体験し、アーチェリーとホッケーに興味を持った。高尾は「中学までバスケをしていたが、自分の力だけを評価される個人競技で勝負したかった」とアーチェリーを選び、大分東明に入学した。
腕が長く、俊敏性と柔軟性に優れた高尾は競技を始めた当初から弓を引くと、矢が的の真ん中に当たった。ただ、偶然を良しとしない高尾は、的に当たる時と当たらない時を分析し、フォームの安定を図り、道具の特性を理解することで得点を伸ばした。2年生で全国高校総体、全国高校選抜大会に出場し、順調に結果を出したが「自分の思い描く成長ではなかった」という。
高尾は過程を重視し、点数が全てではないと考えている。フォームが崩れた状態では点数が良くても、納得できなかった。自分の理想とするフォームで狙った得点を出すことに成長の喜びを感じていた。
3年生になると、これまでに感じたことのないプレッシャーもあり、思うように弓を引けない時期が続いた。今年3月に自己ベストを更新してから、記録が伸びなかった。さらに今夏の全国高校総体前には体調不良でコンディションが戻らず、「大事な本番で力を出せなかった」と不完全燃焼で終えた。
9月の国体九州ブロック大会は本調子ではなかったが、悪いなりに結果を残したのは成長の証。栃木国体は「これまで支えてくれた両親や指導者に恩返ししたい」と強い覚悟で臨む。そして、大会後は志望する国立大学の受験に向けて猛勉強に励む。競技と両立してきた学業にも手を抜くことはない。高尾の挑戦はまだまだ続く。
(柚野真也)