意識もうろう女性、頭が水没寸前…男性2人に教えたのは愛犬タローだった 警察署、タローにガムを贈る

石合龍也署長(左)から感謝状を受け取った佐藤隆さん(右)、愛犬のタロー、安野好夫さん(中央)=7日午前11時5分ごろ、行田署

 埼玉県警行田署は7日、用水路で身動きが取れなかった80代女性の人命救助に貢献したとして、いずれも行田市在住の佐藤隆さん(70)と愛犬タロー(雄11歳)、安野好夫さん(67)に感謝状を贈呈した。タローの先導で女性を発見し、感謝状を受け取った佐藤さんは「当たり前のことをやっただけだが、タローがいなければ気が付かなかった」と語った。

 同署によると、8月27日午前6時25分ごろ、佐藤さんはタローと散歩中、タローに引っ張られた先で、用水路(幅・深さ約30センチ、水深約20センチ)内で身動きを取れなかった意識もうろうの女性を発見。自宅に戻って妻に警察と消防を呼んでもらい、現場付近の安野さん方に助けを求めた。

 佐藤さんは駆け付けた安野さんと連携。警察官が到着するまでの間、女性を励まし続け、安野さんは自宅にあった肥料袋を女性の下に入れて、佐藤さんは女性の頭が水没しないように支えるなどした。女性は除草をしようとして誤って足を滑らせたとみられ、現在は入院しているが、命に別状はないという。

 同署の石合龍也署長が同署で佐藤さんと安野さんに感謝状を手渡し、タローにも犬用のガムがプレゼントされた。石合署長は「早期発見が良かったが、タローのおかげで尊い命が救われた。連携も見事だった」と感謝した。

 現場の用水路は草が生い茂り、2人とも「こんな場所に人がいるとは思わなかった」と口をそろえた。佐藤さんは「やって当たり前のこと」と語り、安野さんも「目の前の人を助けたが、手を貸しただけで、やって当たり前のこと」と話した。

© 株式会社埼玉新聞社