トヨタ、チームオーダーは「状況に応じて」/富士“皆勤賞”はふたりetc.【WEC富士木曜Topics】

 2022年のWEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースは、9月9日に走行初日を迎える。富士スピードウェイでのWEC開催は、2019年以来3年ぶり。昨シーズンも当初カレンダーに含まれていたが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響により中止され、バーレーンでの2連戦へと置き換わっていた。

 走行前日の8日木曜日、富士のパドックからのトピックスをお届けする。

■日本の熱狂的ファンは、空港にも
 LMP2のベクター・スポーツから参戦するランガー・バン・デル・ザンデは、日本でのレースについて「素晴らしい気分だ」と語り、日本のファンの熱狂ぶりを強調した。

「空港では、僕がかつて運転したモデルカーでいっぱいの箱を持った人に、サインしてくれと追いかけられたんだ」とバン・デル・ザンデ。

「彼は、WECのすべての人を待っていたんだ。ここでレースをするのが待ちきれないよ」

■ドライバー交代にペナルティなし
 チーム・プロジェクト1は、ブレンダン・イリービが56号車ポルシェ911 RSR-19での出場を急きょ取りやめ、木村武史が乗り込むこととなったが、ドライバー交代申請が遅れたことによるペナルティを受けていない。

 スチュワード・ディシジョンによれば、イリービは後にCOVID-19の陽性反応が出た人物と濃厚接触していた。当初、イリービが出資するインセプション・レーシングのメンバーは「家族の問題」とこれを表現していた。

■LMGTEアマクラスのタイヤが変更
 ミシュランからシリーズに対して出された要請を受け、今回の富士ラウンドではLMGTEアマクラスの全車が、2021年仕様のタイヤで走行することとなった。

 8月25日付のミシュランからの要請によれば「グループ・ミシュランの生産工場に大きな動揺が生じたため、ミシュランは富士6時間レースにおいて2021年スペックをLMGTEアマカテゴリー全体に供給する以外の選択肢はない」と記されている。

LMGTEアマクラスに参戦するAFコルセの54号車フェラーリ488 GTE Evo

■トヨタのバセロン「富士はアルピーヌに有利なサーキット」
 トヨタGAZOO Racingのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンによれば、レース中に車両間のチームオーダーを出すかどうかは「状況に応じて」決定されるとのことだ。

 現在、トヨタの8号車GR010ハイブリッドをドライブするセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮は、チームメイトである7号車トヨタGR010ハイブリッドのマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスに20ポイントの差をつけ、ドライバーズランキング2位につけている。1位はアルピーヌの3人だ。

「事前に計画を立てることはなく、レース中に決める」とバセロン。「事前には予想できないほど、さまざまな状況が生じうるからだ」。

 バセロンはまた、トヨタやプジョーのル・マン・ハイパーカー(LMH)勢に比べて軽量なアルピーヌのLMP1マシンが、富士ではその特性を活かす、と付け加えている。

「LMH車両においては、我々は同じ性能の水準とプロファイルに置かれている。悪魔は細部に宿るものだ。あるクルマが、適しているかどうかを判断するのは難しい」

「ただ、アルピーヌは(LMHとは)とても異なっている。セクター2と3がダウンフォースに大きく影響されるこのサーキットは、明らかにアルピーヌに有利なサーキットだ」

■スーパーGTとの”ドリームレース”で富士を経験
 チームWRTはLMP2クラスのコンペティターとしては初めて富士に参戦するが、以前DTMプログラムにおいて、2019年末に開催されたスーパーGTとの“ドリームレース”に参戦した経験を持つ。

 チーム代表のヴァンサン・ボッセは、「ブノワ・トレルイエは非常に良い結果を残すことができた」と当時を振り返った。

「彼はどこからともなくやってきて、我々はトップを争った。我々はいま、(今回のWEC富士に対して)どこからともなくやって来る、といった状態にはなりたくないと思っているが、すべてをまとめあげる必要がある」

■富士初走行ドライバーは約50人
 今週末は、50名近いドライバーが富士での初走行を迎える。2012年から開催されてきた富士でのレースにこれまですべて出場しているのは、ポルシェのリヒャルト・リエツとクリスチャン・リード、ふたりだけである。

 前回2019年のWEC富士ではサポートレースが組み込まれていなかったが、今回はツーリングカーとシングルシーターが併催される。TCRジャパンシリーズは2レース、フォーミュラ・リージョナル・ジャパンはトリプルヘッダーで開催される。

 WECの走行初日となる9日(金)は、11時から90分間のFP1、15時30分から90分間のFP2が予定されている。

木曜午後のトラックウォークでは、多くのドライバー・スタッフがコースを歩いて1周していた

© 株式会社三栄