母死亡…胸を足で踏みつけた息子「母の暴行阻止で、やりすぎた」 検察側が否定「息子は顔など負傷ない」

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 自宅で母親=当時(72)=の顔を殴るなどして死なせたとして、傷害致死の罪に問われた埼玉県深谷市瀬山、無職の男(40)の裁判員裁判の論告求刑公判が8日、さいたま地裁(佐々木一夫裁判長)で開かれた。検察側は懲役7年を求刑。弁護側は懲役3年、執行猶予付きの判決を求めて結審した。判決は14日。

 検察側は論告で、男が母親の顔を複数回殴り、胸を足で踏みつけた行為について、「犯行態様は執拗(しつよう)かつ強度で悪質」と指摘。長年の不満が募っての犯行は「動機に酌むべき事情がない」とした。弁護側が主張する過剰防衛については「被告の顔や手にけががない」などとして否定した。

 弁護側は、「お互いが手を出す関係性だった」と説明。男は犯行時、向精神薬や酒を摂取していたことから正常な状態ではなかったとし、「母親の暴行を止めようとし、やりすぎてしまった」と主張した。

 起訴状などによると、男は2020年9月19~20日ごろ、自宅で母親の顔を殴り、胸を足で踏みつけるなどの暴行を加え、多発肋骨(ろっこつ)骨折などの傷害を負わせ、緊張性気胸により死亡させたとされる。

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