東京・江戸川区が「区立の駄菓子屋」開設へ 意外な理由とは?

東京・江戸川区の区長が「区立の駄菓子屋を作る」と発表しました。異例の政策の理由を探りました。

9月8日の定例会見で江戸川区の斉藤猛区長が発表したのは「区立の駄菓子屋を作っていきたいと思っている」という驚きの計画です。この背景にあるのは、深刻化する「ひきこもり」の問題がありました。斉藤区長は「なぜ駄菓子屋かというと…、区でひきこもりの実態調査を行った。その結果、18万世帯の中でひきこもりの当事者が9000人強いるという数字が出てきた」とその背景の説明を続けました。

江戸川区によりますと、2021年に江戸川区が行ったひきこもりの実態調査の中で、当事者から働く場所の紹介や仲間づくりを求めるニーズが多いことが分かったということです。この結果を受け、区が就労訓練の場と居場所を作ろうと計画したのが「駄菓子屋と居場所の併設」でした。区長は会見の中で「商店街の一角を借りて表は駄菓子屋で営業するが、裏では寝転がってもテレビを見てもゲームをやってもいい。気軽に立ち寄れる居場所になればと思っている」と話しました。

江戸川区はまず、ひきこもりの人に対して気軽に立ち寄れる「居場所」に来てもらい、その後、併設している駄菓子屋での就労訓練につなげていく計画です。区立の駄菓子屋は2023年1月の開設を目指し、区議会に議案として提出されます。

<ひきこもり支援で「駄菓子屋」開設へ>

江戸川区が区立の駄菓子屋を作るきっかけとなった、江戸川区が行ったひきこもりに関する実態調査について見てみます。

区の調査によると、2021年7月から2022年2月まで全18万世帯の調査を行った結果、15歳以上の「ひきこもり状態の人数」は7914人に上ることが判明したということです。年代別に見てみると40代と50代がやや多いものの、若い世代から高齢者まで幅広く存在していることが分かります。また、これまでひきこもりの人には就労訓練の場がなかったこともあり、今回、江戸川区は"空白”になっていた場所に区が運営する駄菓子屋を開設し、就労しやすい環境をつくろうということになりました。

駄菓子屋にはひきこもりの人が気軽に来られる居場所を併設し、まず「家から出ること」に慣れてもらい、その後、併設された駄菓子屋で徐々に働くことにも慣れてもらうことで、そしてその先にある一般企業や区役所での就労につなげていく計画です。就労訓練の場を「駄菓子屋」にしたのが、ひきこもり支援として斬新な取り組みとなりそうです。先駆的な事例となるのか、区議会での議論の行方も注目されます。

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