聴覚障害者の画家 久保洋三さん初個展 12日まで諫早市美術・歴史館

初めての個展を開いている久保さん=諫早市美術・歴史館

 長崎県諫早市在住の画家で聴覚障害者の久保洋三(ようざぶ)さん(84)の初めての個展が8日、諫早市東小路町の市美術・歴史館で始まった。活動を支える久保洋三「虹をつむぐ」友人会主催で、県展入選作品などを中心に45点を展示。入場料200円、12日まで。
 久保さんは家業の畳店を経営しながら57歳で油絵を始めた。聴覚障害を理由にコミュニケーションが難しいとして、絵画教室に入門できず、県内の美術展で他の画家の作品を見て、独学で勉強。1997年に市展で初入選し、県展にも毎年出品するようになった。
 会場には、有明海や本明川など身近な自然を写実的に描いた作品が並ぶ。子どもの頃に何度も貝採りに訪れた思い出を懐かしみながら無数の貝殻で埋め尽くされた浜辺を描いた「殻体(ぬけがら)」や、タイラギ漁に使われていた潜水服を寂しげに描いた「引き続き休漁」など、環境問題をテーマにした作品も展示している。
 久保さんは手話で「これまで一生懸命生きてきた証明を見てもらい、これからもずっと絵を描き続けていきたいという気持ちが伝わればうれしい」と話し、来場を呼びかけた。


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