魚のさばき方学んで 水産業振興で講座

カツオのさばき方を習う受講生(和歌山県田辺市稲成町で)

 水産業の振興を目的に、和歌山県田辺市のプラス農業育成財団とスポーツ・カルチャーセンターのプレジールは、同市稲成町の産直市場「よってっていなり本館」で「プロから学ぶ 魚のさばき方講座」を開いている。受講生はプロから鮮魚の扱いや包丁さばきを楽しみながら学んでいる。

 水産業界では、魚をさばくことができる人手不足が課題となっている。また、消費者の魚離れも進んでおり、業界の衰退への危機感から、育成財団が助成し、もとや魚店(みなべ町)の次長と課長が講師を務め、特別企画として初めて講座を開くことになった。

 7月から始まり、10月までの全10回。土曜と月曜のコースに分かれ、受講生は同市や白浜町などから13人が参加している。サバやカマス、ハマチなどを使って、鮮魚の扱い方やうろこ、内臓処理など基本から学んでいる。

 5回目の3日は、地元産のケンケン漁で釣ったカツオを使い、タタキ用の切り身と刺し身づくりをした。もとや魚店の次長・稲垣富美子さんが見本を見せた上で、腹骨の取り除き方、切り身のつくり方など包丁使いを一人一人丁寧に教えた。

 受講生の上富田町岡、伊藤里実さんは、コロナ禍になって釣りを始めたことがきっかけでこの教室に参加したという。「今まで知らなかったテクニックや料理法を教えていただいてレパートリーも広がり、すごく参考になるし、楽しい。家でも習ったことを生かしている」と充実した様子だった。

 稲垣さんは「段階を追って進めている。皆さんが真剣に説明を聞き、質問もしながら取り組んでくれるし、上達しているのを見るとやりがいがある」と話した。

 育成財団では、今後もこの講座を継続していきたいとしている。

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