【日本保険薬局協会】HPKI以外の現実的な基準の早期策定を要望/「来年1月スタート時に民間サービス利用可能な状況に」

【2022.09.09配信】日本保険薬局協会は9月8日に定例会見を開き、電子処方箋などでの資格確認システムとして使用されるHPKIに関する要望文書を公表した。HPKI以外の現実的な基準を策定し、来年1月スタート時に民間サービスが利用可能な状況になることを求めている。

協会が公表したコメントは以下の通り。

■電子処方箋についてのコメント

○ 電子処方箋の施行まで4か月を切り、さらに、モデル事業も全国4か所で開始されるなど、 実施に向けた機運も高まってきた。

○電子処方箋では、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照、重複投葉のチェックのほか、紙処方箋の入力作業や保管が不要となり、この結果、より丁寧な患者対応への注力や医療機関・薬局間のコミュニケーションの円滑化が図られるとされているところである。
当協会としても、この事業がオンライン資格確認とあいまって、調剤事業の高度化や薬局経営の効率化に大きく寄与するものと期待しており、会員企業も、その実装に向けて準備に注力しているところである。

○ 他方、準備が進むにつれて、 様々な課題も明らかになってきた。

○ すでに、当協会では、令和5年1月開始予定の電子処方箋に関し、 ①HPKI カードのみを前提としない柔軟なシステムとすること、②その前提として HPKI カードの発行維持に要する費用が高額になることの懸念について厚生労働省に要望してきた。

○ 第1の、 「HPKI カード以外の民間の電子署名サービス」について、厚労省では、有識者会議を設けてその基準等を検討する旨明らかにしている。
当協会としては、今回策定される基準等は、 実際に民間事業者が参入可能な現実的な基準等でないと意味がないと考えており、現実的な基準等の策定により、 来年1月のスタート時に、 民間署名サービスが利用可能な状況になることを期待している。
第2の「HPKI カードのコスト問題」については、 まず、認証局である日本薬剤師会が近々、大量発行に対応した料金体系を発表する予定と承知しており、さらに、厚生労働省が発行費用の補助に関する予算措置を検討していると伺っている。
当協会としては、これら動きを歓迎している。 HPKI カードは極めて公共的な性格を持つことに鑑み、このカードの新たな料金体系は、 料金における薬剤師会会員・非会員での差を廃するなど、透明で合理的な体系となることを期待している。

また、厚労省の予算措置には大いに期待している一方、 予算措置が執行されるまでカード申請を待つといった動きにならないよう、早期に料金に反映するための工夫も願いたい。

○ HPKI カードの発行は、この秋から日本薬剤師会本部で再開されると聞いている。 スムースな発行を期待しているが、現実的には、 電子処方箋のスタートまでに、 薬局側が求める枚数をすべて発行できない可能性も想定せざるを得ない。
このような状況の中で、「申請をどういう形(個人・会社)で行うのか」、 「発行の優先順位(先着順?まさかチェーンは後回し?のような不安)をどのようにつけるのか」、「カード発行の状況」等について、ルールを明らかにし、進捗状況を関係者間で共有していくことが望まれる。 また、 厚労省も、このルール策定や進捗モニタリングの場の設定等全関係者が理解を共有できるような環境づくりを図り、 電子処方箋の円滑なスタートに向けて、積極的なコミットをお願いしたい。
また、会員企業の内部においても、例えば(当協会アンケートでも各社の意見が割れているが) HPKI カードの取得・維持に要する費用を会社負担とするのか、 本人負担とするのか、会社の補填をどうするのか申請に関する業務を会社が取りまとめるのか、優先順位をどうつけるか、事務負担の大きさはどの程度かなど、 様々な課題が明らかとなっている。

○今後とも、電子処方箋の施行に向けて様々な課題が明らかになってくると考えており、引き続き、何よりもその円滑な実施のため、課題の拾い上げや、解決に向けて積極的に取り組んでまいりたい。

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