最近ではクルマを中心としたライフスタイル「バンライフ」への注目が高まっています。「お金はどのくらいかかる?」「食事はどうすればいいの?」「トイレと風呂は?」など気になりますよね。今回はバンライフが気になる初心者の方に向けて、バンライフで必要なベース車選びから生活費まで、現役バンライファーの実体験を交えながら詳しく解説します!
そもそもバンライフって何?車中泊との違いもチェック
バンライフ(VANLIFE)とは、「バン(VAN)」と「ライフ(LIFE)」を組み合わせた造語で、車を中心としたライフスタイルのことです。
ラルフローレンのデザイナーとして働いていた、アメリカのフォスター・ハンティントン氏が、2011年にキャンピングカーでの生活を始め、その様子をSNS上で「#VANLIFE」と発信したことから、世界的なムーブメントとなりました。
バンライフを楽しむ人は「バンライファー」と呼ばれ、その自由でミニマムなライフスタイルが注目を集めています。
バンライフは「車中心のライフスタイル」、車中泊は「宿泊手段」
バンライフと聞くと「車中泊」をイメージする人も多いかもしれません。
ではバンライフは、車中泊とはどう違うのでしょうか?
車中泊とは、本来は移動目的に利用される自動車や電車を、宿泊場所として利用する「手段」を指します。
いっぽうバンライフは、寝泊まりだけでなく、家事や料理、仕事なども含めた生活そのものを車で行うライフスタイルを総称するものです。
- 車中泊:「車で寝泊まりする」という、旅先での宿泊手段
- バンライフ:車を中心としたライフスタイル
バンライフというライフスタイルを実現するために、車中泊という手段が必要になるわけですね。
バンライフを始めてみよう!バンライファーになるまでの4STEPを解説
ではバンライフを始めるには、どうすればよいのでしょうか。
バンライファーになるためのステップは、主に以下の4ステップ。
【バンライファーになるための4STEP】
- ベース車を選ぶ
- ベース車の内装や設備を整える
- 必要なギアを集める
- バンライフスタート!
それぞれのステップについて、ここから詳しく解説していきます。
バンライフの始め方【STEP1】ベース車を選ぶ
バンライフを始めるためには、まずは生活の拠点となるベース車を選ぶ必要があります。
ベース車選びのポイントをチェック!
バンライフのベース車を選ぶにあたって、チェックしておきたいのは主に以下のポイント。
バンライフ用車選びのポイント
- 床がフラットになる
- 車内の幅と天井の高さにゆとりがある
- 足を伸ばして寝ることができる
「クルマが大きければ広い空間を確保できる」とは限らないので、実際に車内の様子をよく確認することが重要です。
助手席も倒して寝床として使えるクルマなら、車内空間を広々と使うことができます。
より費用を抑えたい場合は、ヤフーオークションなどのオークションサイトで格安のクルマを探すという方法もありますよ。
車の維持費も知っておこう!
クルマは購入時の価格だけでなく、維持費もチェックしておきましょう。
クルマの維持費としては、主に以下が挙げられます。
【クルマの維持費】
- 自動車税
- 保険料
- メンテナンス費
- 駐車場代
- ガソリン代
- 車検代
維持費の金額は個人によって異なりますが、バンライフ中にずっとかかってくる費用です。
あらかじめ、どのくらい維持費がかかりそうか計算しておきましょう。
まずはキャンピングカーをレンタルして「お試し体験」もおすすめ!
「バンライフをしてみたいけれど、いきなりクルマを購入するのはハードルが高いな…」という方もいらっしゃるかもしれません。
バンライフに便利なキャンピングカーは、レンタカーを借りてお試し体験することができます。
まずはレンタカーでバンライフを試してみるのも良いでしょう。
バンライフの始め方【STEP2】ベース車の内装や設備を整える
ベースとなるクルマが決まったら、内装や設備を整えていきましょう。
特に欠かせないのが、フルフラットとなる寝床を確保すること。
キャンピングカーではないクルマや、もともと所有していた普通のクルマを、DIYで車中泊仕様に改造するバンライファーは少なくありません。
後部座席を撤去してしまい、フルフラットにしてしまうという方法もあります。
「キャンピングカーは値段が高すぎて手が出ない…」という人は、車中泊仕様のクルマを自作してみてはいかがでしょうか。
シャワーやトイレは車外で済ませる人も多いですが、中にはトイレを車内に自作しているバンライファーもいますよ。
バンライフの始め方【STEP3】必要なギアを集める
内装や設備が整ったら、最後に必要なギアを集めていきましょう。
車中泊であると便利なギアとしては、以下のものが挙げられます。
【車中泊用のギア】
- マット
- 寝袋
- ランタン
- コンテナ
- イス
- テーブル
- サンシェード
- 小型サーキュレーター
- 車用網戸
- タープ
便利なグッズをたくさん揃えると便利で快適ですが、スペースが限られる車内では、窮屈に感じてしまうかもしれません。
できるだけコンパクトなギアや、複数の役割をこなせるギアなどを選ぶことで、荷物を減らすことができます。
さらにポータブル電源を使わずに、シガーソケットに差し込むカーアダプターでスマホを充電したり、フリーズドライや缶詰などの保存食を活用することでクーラーボックスを省くといった方法もあります。
また「Carstay(カーステイ)」など車中泊・バンライフ向けのアプリがあれば、キャンピングカーのシェアリングサービスや、有料の車中泊スポットなどを利用することができます。
ギアだけでなく、地図アプリの「Google map」や無料で使えるドライブレコーダーアプリ「スマートくん」など、便利なアプリもそろえておくと、より快適にバンライフを楽しめるでしょう。
バンライフの始め方【STEP4】バンライフスタート!
準備ができたら、ついにバンライフのスタートです。
実際にバンライフをしながら試行錯誤やマイナーチェンジを重ね、さらに快適で楽しいバンライフを目指しましょう!
ここからは、バンライフを始めたあとに気になってくる「 収入&生活費」や「食事」など、「バンライフの過ごし方」について先輩バンライファーさんたちの実体験を交えてご紹介していきます。
バンライフの過ごし方って!?収入&生活費・食事・住民票など気になるポイントも解説
バンライフを始めるにあたり「生活費はどのくらいかかるの?」「食事はどうすればいいの?」「住民票はどうするの?」など生活面で気になることがたくさんありますよね。
ここでは実際にバンライフを楽しんでいる人の事例を踏まえながら、気になるポイントを解説していきます。
バンライフの過ごし方
多くのバンライファーは、移動しながら生活をしています。
北海道と沖縄では気温が大きく異なる日本では、季節に応じて滞在する場所を工夫することで、より快適な生活を送ることができます。
暑い夏は北上したり、標高の高いところで過ごしたり、寒い冬には暖かい沖縄を楽しんだり。
寒い時期には涼しい方面、寒い時期には暖かい方面へ行くのがおすすめです。
▼バンライフの1年間の流れは、こちらもチェック!
バンライフの生活費や収入
バンライフを始めるにあたって気になるのが、「生活費はどのくらいかかるの?」「収入はどうするの?」ということですよね。
まず生活費は、食事は自炊するのか外食するのか、どのくらいのペースで移動するのかなどによって変動し、人によってさまざまです。
一例としては「1か月10万円」が目安となり、その内訳は
- 食費4万円
- ガソリン代2万円
- 温泉代と通信費が各1万円
- 洗濯代、車中泊代、日常品費、その他が各5,000円
となっています。
いっぽう収入に関しては、必要な貯金を用意してからバンライフを始めたり、働きながら週末や長期休暇だけバンライフを楽しんだりと、これも人によってさまざま。
Youtube配信やWEB記事の執筆など、バンライフをしながら収入を得て生活しているバンライファーも少なくありません。
バンライフの食事
バンライフでは毎回外食していると食費がかさんでしまうので、車内での自炊が中心となります。
シングルバーナーやカセットコンロなどのキッチングッズを用意すれば、車内でも温かい料理が楽しめます。
一例としては、
- 朝食:手軽にホットサンドとコーヒーを作る
- 昼食:道の駅の食堂で地域の名産品を楽しむ
- 夕食:車内で鍋を作る
- 地酒で晩酌する
といった具合です。
行く先々で、その土地ならではの地元食材を使って料理を楽しめるのは、バンライフの醍醐味でもあります。
洗い物を減らすため油汚れは先に拭き取っておいたり、車内に冷蔵庫がない場合は、こまめにスーパーで買い出しをするなど、工夫を重ねることで、よりバンライフの食事を楽しめるはず。
バンライフのトイレやお風呂
バンライフの日々の生活の中でも、特に気になるのがトイレやお風呂をどうするのかという問題ですよね。
実際には、トイレやシャワーが付いていない車でバンライフをする人は少なくありません。
サービスエリアのトイレや銭湯など、公共のトイレやお風呂をうまく利用することが必要になるでしょう。
- トイレ
- お風呂
特に女性のバンライファーの場合は、個室でシャワーをしたい時にはネットカフェのシャワーを利用するなど工夫しています。
バンライフ中の住民票や郵便物
日本では住民税を納税するため、必ずどこかに住民票を置いておく必要があります。
バンライファーの場合は、実家に住民票を置いているケースが多く見られます。
郵便物はコンビニや運送会社、郵便局などで受け取ることができ、最近では駅や商業施設などに普及してきている宅配ロッカーを利用する方法もあります。
ルールやマナーにも要注意!バンライフで気をつけたいポイント
自由な生活が魅力のバンライフですが、ルールやマナーには十分に注意しましょう。
ここではバンライフを送るにあたり、気を付けたいポイントを解説します。
車中泊禁止の場所もあるので要注意!
車中泊をする場合は、車中泊をしてもよい場所かどうか、必ず確認しておくことが重要です。
道の駅や商業施設など、多くの施設では車中泊が禁止されています。
また車中泊が許可されていても、車外にテーブルやイスを持ち出すことは禁止されていることも多いので注意しましょう。
近年では、日本RV協会が定めた条件を満たす専用の車中泊施設「RVパーク」も増えてきているので、ぜひ活用したいですね。
施設利用やゴミ捨てのルールは必ず守ろう!
車中泊の人気が高まるなか、一部の利用者によるマナー違反が問題になっています。
ゴミを大量投棄したり、公共駐車場でキャンプ行為を行ったり、勝手に公共の電源を使用したりといったマナー違反は周囲の迷惑になってしまいます。
日本RV協会のウェブサイト上で「公共駐車場でのマナー厳守10カ条」が紹介されているので、確認しておきましょう。
エンジンをかけっぱなしにしたり、トイレに残飯や汚水を流したり、洗面所で食器や体を洗ったりといった、ついやってしまいがちなマナー違反にも注意が必要です。
火を扱うときには細心の注意を!
車は密閉度の高い空間であり、暖房や調理など火気の取り扱いには、十分な注意が必要です。
安全のためには、車内では火を使わないのがベストです。
どうしても車内で火を使った料理をしたい場合には、以下のポイントに注意して行いましょう。
【車内で火気を使う際の注意事項】
- 必ず窓を開けて換気する
- 倒れる可能性がある火気を使わない
- 火気から目を離さない
- 火気の近くに燃えやすいものを置かない
キャンプでよく使われるガスバーナーは、重心が低く倒れやすいものもあるので注意が必要です。
車内で火を使うことは、一酸化炭素中毒の危険があるので、換気対策は徹底しましょう。
寒さ対策・暑さ対策は万全に!
快適なバンライフを送るためには、夏の暑さや冬の寒さにも万全な対策が必要となります。
夏の暑さには、扇風機やサーキュレーターを活用して空気を循環させたり、サンシェードで日差しを防いだりする対策があります。
また標高の高い場所や、日陰を選んで駐車することも重要です。
冬は大雪で立ち往生してしまう危険もあるため、天気予報をこまめにチェックして、積雪が多い地域での車中泊は避けるようにしましょう。
積雪の多い北海道では、RVパークやオートキャンプは冬には閉鎖されるところがほとんどなので、事前によく確認しておくことが重要です。
冬の車中泊では、暖かく過ごせる防寒着や寝袋、マットレスのほか、ポータブル電源を使って電気毛布を利用するなど、装備を万全にしておきましょう。
ついエンジンをかけっぱなしにして寝たくなるかもしれませんが、一酸化炭素中毒の危険があるため絶対にしてはいけません。
マナーを守って安全にバンライフを楽しもう!
「移動しながら生活する」という非日常を体験できる「バンライフ」。
インターネットの発達や近年の生活様式の変化に伴い、リモートワークが急速に普及するなか、バンライフはより現実的な選択肢となりつつあります。
全国各地でキャンプや観光を楽しむこともでき、旅行やアウトドアが好きな人には、とても魅力的ですよね。
バンライフを始めるにあたっては、マナーを守り、安全面に注意することが欠かせません。
マナーを守って、安全にバンライフを楽しみましょう!