津波から乗客守れ JR東日本が横浜・磯子で避難誘導訓練

はしごを使わず列車から線路へ降りる避難訓練の参加者=横浜市磯子区

 津波から乗客を守ろうと、JR東日本横浜支社は9日、JR磯子駅(横浜市磯子区)に隣接する保線施設で避難誘導訓練を実施した。地域住民や沿線企業の従業員ら約750人が参加し、駅間で停止した場合の迅速な降車方法を確認した。

 訓練は、京浜東北・根岸線の磯子-根岸間を列車が走行中に相模トラフ沿いでマグニチュード(M)8級の巨大地震が起き、最大で4メートルの津波が押し寄せるとの想定で行われた。

 「進行方向左側のドアを開けます。3、2、1。ドア開扉」。車掌は乗客に慌てて降りないようアナウンスし、ドアを開けた。

 車両の床面から線路までの高低差は約1.3メートルあるが、いち早く安全な場所へ向かうため、乗客は避難用のはしごを使わずに車外へ逃れた。車いす利用者を降ろす手順も確認し、乗務員だけでなく周囲にいる人も協力した。

 10両編成の列車から次々と乗客が降り、約900メートル先の避難場所まで30分足らずで移動した。

 同支社安全企画室の寺田和嗣室長は「訓練はスムーズだったが、いざという時に乗務員2人で対応するのは難しい。地域の人に先導してもらうなどの協力を得ることも重要になる」と話した。

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