謎の巨大施設 初調査に独占密着 旧海軍呉鎮守府の地下に眠る遺構

海上自衛隊呉基地…。その地下には、旧海軍が建設し、今も全容が明らかになっていない、地下施設があります。新たに確認された地下壕の調査に、独占密着しました。

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「そのまま行きます。腹ばいじゃなく、反対がいいですよね」
「こっち側だと、ここが急なので、ここを降りてくる方がー」

地下壕に入ったのは、広島工業大学の光井周平准教授、呉工業高等専門学校の上寺哲也准教授と学生でつくる調査チームです。海上自衛隊と連携して、呉基地に旧海軍が建設した地下施設の学術調査をしています。

今回初めて調査したのは、旧呉鎮守府=現在の呉地方総監部庁舎から南側、およそ200メートルにある地下壕です。

この地下壕…。入口は確認されていましたが、史料が残されていないため、内部に何があるのか分かっていませんでした。

地下壕の調査は、5年前から始まりました。こちらのスペースは、幅14メートル奥行が15メートル、高さは最大で6メートルの半地下構造になっています。

当初は、旧呉鎮守府地下作戦室と考えられていましたが、戦後撮影した写真などを調べた結果、電話交換所と判明しました。そして、調査を進めると、この壕よりさらに奥に、地下壕の「中枢」ともいえる巨大な施設があることが分かったのです。

旧防空指揮所とみられるその巨大施設に入り、本格的な調査をするのは初めてです。

「脚立1本にします」
「ゆっくり」

入口から、およそ9メートルほど土砂などが堆積した斜面を降りて行くと左側に通路が確認できました。

およそ20メートルの通路を進むとかまぼこ型の空間が現れその先は、ブロックが積まれ行き止まりになっていました。計測をすると高さおよそ3・6メートル、幅が4メールあることが分かりました。

広島工業大学 光井周平准教授
「壁自体は劣化も見られない、施工不良の所もないし、電話交換所よりコンクリートの状況は良好だと思います」

呉工業高等専門学校 上寺哲也准教授
ー今、何をされてたんですか?
「これは、ファイバースコープで壁の向こう見ようと」

ーそれを見ると何が分かる?
「むこうの空間がそのまま残っているか確かめています。残念ですが見えませんでした」

地下壕の内部構造についても、1979年に作成された図面が、隣接する造船会社で見つかりました。国道を移転する際に安全確認のため、地下の調査を実施したと思われます。

この図面によると最も大きな空間は、幅15メートル、奥行43メートル、高さ8・8メートルのかまぼこ型で、「電話交換所」よりもはるかに大きいことが分かります。

今回調査したのは図面上の黄色部分で、ブロックの奥には青色で囲まれた巨大な空間が広がっていることが確認できます。

「相当、大きいですね、こりゃ」
「これが多分、証言された通信の方が作業してただろうという所ですね」

その後の調査で、地下壕の最も大きな空間は、上部に造船会社の道路があり大型車が通行することから危険性があるとして、埋め戻したことも分かりました。

今回の調査では、積み上げられたブロックのため、奥まで行くことができませんでした。しかし、見つかった図面と計測した数値と位置が正しいことが確認されました。

広島工業大学 光井周平准教授
「図面で見たりとか入口から写真を見るだけでは分からなかったですけど、実際に入って見て、コンクリートと構造物としては、かなり良好な状態で残されているのが分かったので、これからコンクリートの性能であるとか用途の解明も含めて研究を進めていきたいと思います」

呉工業高等専門学校 上寺哲也准教授
「ものすごくきれいでした。中がですね、100年近く経っているのにこんなにきれいだと思いませんでした。できれば、ロボットを入れて下の方にまで調査範囲を広げていきたいと思ってます」

調査チームは、今後、地下壕のコンクリートの材質や強度を調べたり別の空間も調査したりすることにしています。

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