わずか784グラムで生まれ…親子で7年伸ばした髪を提供 宇都宮の小林さん

提供する髪を手にする沙耶さん(右)と英理子さん

 わずか784グラムと両手に収まるほどの大きさで生まれた7歳の少女が、病気などで頭髪に悩みを持つ子どもに医療用ウィッグを贈る活動「ヘアドネーション(ヘアドネ)」に初めて協力した。7年がかりでヘアドネができる長さに達した髪は、早産による超低出生体重児として誕生した少女が成長した証し。「無事に成長してほしい」と願って一緒に髪を伸ばしてきた母親も、娘の成長を喜びながら髪を提供した。

 ヘアドネに協力したのは栃木県宇都宮市下栗町、小学1年小林沙耶(こばやしさや)さん(7)と母英理子(えりこ)さん(47)。今年4月の小学校入学を記念して親子で協力することに決めた。

 ヘアドネは切った髪の長さが31センチ以上ないと提供できないが、2歳くらいまでの沙耶さんの髪は細く、伸びづらかったという。英理子さんは「本当に伸びるだろうか」と発育の遅さに不安を感じていたが、年を重ねるごとに沙耶さんの髪は増え、自分でできることもゆっくりと増えていった。

 長い髪は成長の表れの一方、手入れは大変だった。夏は暑く、冬は乾きづらい。入浴後、髪を乾かすには完全に水分を飛ばすのに2人で1時間かかった。手間はかかったが、カット前日になると「少し寂しいね」と2人で口をそろえ、長年連れ添った髪との別れを惜しんだという。

 カットしたのは先月26日。美容室を初めて訪れる沙耶さんの緊張を和らげようと、兄拓海(たくみ)さん(24)も連れ添った。沙耶さんは40センチ、英理子さんは60センチをカット。新たな髪型を家族から「かわいい」と褒められた沙耶さんは、「緊張した。(切った髪は)ウィッグにしてみんなに喜んでもらいたい」と照れくさそうに笑った。夏休みの一番の思い出になったという。

 英理子さんは「沙耶が無事に成長してくれてうれしい。元気に過ごせているのは治療や看護をしてくださった医療従事者の皆さんのおかげ」と感謝していた。

初めてのカットに臨んだ沙耶さん

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