2022年沖縄県統一地方選で、候補者の経歴や政策などをまとめた「選挙公報」を発行しているのは、8~10月に議員選挙のある29市町村のうち、12市町村であることが琉球新報の調べで分かった。県内41市町村でも18市町村(約44%)にとどまり、全国の約7割に比べ低い。識者は「候補者の政策を比較するために公報は重要な『インフラ』だ。市町村は意義を認識し、発行する必要がある」と指摘する。
29市町村選管のうち、選挙公報を発行しているのは宜野湾市など12市町村。一方、障がい者向けの選挙公報を発行している市町村はゼロだった。
発行している市町村は「候補者の政策などを周知し、投票率向上を図るため」(八重瀬町)などの理由を挙げる。
一方、発行していない市町村は、告示から投開票までの期間が短く「間に合わない」(宜野座村)との回答や、職員数が「足りない」(北大東村)との理由が多かった。
有権者や候補者が多い県内11市のうち、名護、宮古島、石垣の3市は発行していない。理由として、「市民から要望がない」(石垣市)、「市の面積が広大で、期日の2日前までの配布完了が間に合わない」(名護市)などとしている。
総務省によると2021年12月末時点で、全国の市区町村長選に関しては1741自治体のうち1227が選挙公報に関する条例を制定し、議会議員選に関しては1225の自治体が条例を制定。首長選、議員選いずれも約7割が条例を制定している。
(吉田健一、照屋大哲)