長崎県「全数把握」簡略化 重症化低リスク者は「健康観察センター」利用を

発生届がない感染者への自宅療養・宿泊療養の対応

 長崎県で9日始まった新型コロナウイルス感染者の全数把握見直し。県によると、保健所への届け出が簡略化される対象は約8割に上る見込み。医療関係者や保健所からは負担軽減を歓迎する声がある一方、症状が悪化した場合の対応を懸念する声もある。県や長崎、佐世保両市は相談窓口として、電話で24時間対応できる「健康観察センター」を設置しており、利用を呼びかけている。
 保健所への届け出が今後も続くのは重症化リスクが高い▽65歳以上▽入院が必要な人▽治療薬や酸素投与が必要な人▽妊婦。これまで通り保健所が把握し、健康観察などが行われる。
 一方、リスクが低い人のケアは保健所に代わって健康観察センターが担う。不安な場合に相談に応じたり、症状が悪化した際に診療を受けられる医療機関を紹介したりする。宿泊療養施設への入所、血液中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターの貸与、食料品の調達の申し込みなども請け負う。いずれも自ら電話する必要がある。
 県が設置した同センターは25回線を用意。オペレーターのほか、日中、夜間とも看護師2人が常駐するという。
 多くの感染者を診療している医師の一人は「陽性になると少しの症状悪化でも不安になる人がいる。健康観察センターの存在が周知されることと、実際に利用しやすいかどうかが簡略化してもやっていけるかどうかの鍵になる」と指摘する。


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